政治家というのは必ずしも経済の専門家でないということは分からないではないけれど、物事の理解ができていない人がどこの国にも多いというのは問題が大きすぎるのではないだろうか。まあしかしバブルを経験した日本だから今のアメリカが馬鹿に見えるというのはあって、日本のバブル崩壊の時も公的資金の導入にはアレルギー反応の方が大きかった。そうしてある意味では居直った粉飾(問題の先送りともいう)が続けられ、さらに事態が悪化して結局は長い時間を失ってしまった。
あのとき何をしなければならなかったのかということは明確で、日本という反面教師的な教訓が、今こそ生かされなければならない時だと思われる。ただアメリカの場合は、否決されたと言っても僅差であったわけで、多少は勉強したり良識があったりする人が少数でないことは見て取れる。
また、この事態に乗じて日本がばらまき補正予算を早急に通さなければならないというのは大きな勘違いであろう。急がなければならないのは政界再編であって、何故再編が必要なのかというのは行財政改革の必要があるからなのである。目先の利益や問題の先送りが将来の危機を増大させることは、金融危機と何ら変わりのないことである。このまま粉飾を続けられ、その末の破綻のショック後に改革がおこなわれるというのは、単に敗戦処理ということにすぎないのである。
選挙が近いと先を見る目が失われる現象が起こるようだが、それをあざ笑うかのようなタイミングでこのような危機もおこるというのは、なんとも皮肉なものである。他のもっと有効なシステムは見当たらないにしろ、代議士による政治制度には大きな欠陥があるということも知っておくべきであろう。