危険な食べ物として近年必ずやり玉にあげられる商品として定着した感のあるこんにゃくゼリーであるが、実際にはそれほど犠牲者を出しているわけではないようだ。むしろ比較的安全な食品であるとも言えそうで、もう少しデータがそろうともっと安心して食べられる上位の商品にすらなりかねないのではないかとさえ考えられる。
それでも繰り返し報道のやり玉にあげられるのは何故だろうか。一部の企業憎しというか、企業さえ叩いておけばという安直さと、物事を本当に考えていない馬鹿さ加減と、そうしてやはりいじめて優越感に立ちたいといういやらしさがあるためではないだろうか。事故に遭うという不幸のやりきれない思いは理解できるにせよ、その前に考えなければならないことは、おそらく別のことであるはずだ。
さてしかし、危険な食べ物の上位であるご飯やパンなどは、日常的に食べている頻度が違うので、件数として上位になるのは当たり前であるとも考えられる。またこんにゃくゼリーより明らかに食べやすく詰まらせにくいはずの流動食の方が危険だというデータになっていることから、嚥下の不得意な人や危険な年齢の人は、何を食っても危ないということにすぎないのだと思う。
僕の実感としては、(実際にそのために死んだということではないが)大きめに切ってあるものは何であっても詰まらせやすいとは言えるようだ。このデータに上がっていないが、腰の強いうどんもかなり危ないという経験がある。また、特に肉のようなもので自分で切り分けにくいのは注意が必要で、思い切って小さくしたうえで、小分けに食べるようにしてもらわなくてはならないようだ。その上で食事はできるだけ一人で食べないようにしなくてはならない。子供やお年寄りは間食も含めて、複数の人のいる前でものを食べるという環境でなければ、食べるという行為は大変にリスクが高いと思われる。
しかしそれでも事故というものは一定の確率下で起こる。そのためのリスク要因を少なくするという考えは分からないではないにせよ、危険な食べ物を避けるという行為が万能の解決策にはなりえない。こんにゃくゼリーを食べさせないということで、逆に安心して注意を怠り、事故につながるという可能性が高くなることも考えられる。企業のみを批判する姿勢は、そのように無責任であるばかりでなく、危険を助長しているようなものなのではあるまいか。