カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

歌の上手い基準

2015-12-24 | 音楽

 生まれて初めて買った(買ってもらった)レコードは何だったか。本当に記憶しているかは怪しい話だし、すでにその痕跡が無いのではあるが、たぶん「およげ!たいやきくん」だったのではないかと思われる。自宅にあるターンテーブルの使い方は、このレコードを繰り返しかけることで覚えたと思う。B面の「いっぽんでもニンジン」ももちろん大好きで、なぎら健一が後に出てきてこの歌を歌っていたということを知ったときは、全然気づかずにいたことに衝撃を受けた覚えがある。この歌は大人が熱心に聞いたから大ヒットしたのだ、と言われたが、やはりしかし子供であった僕らは当然繰り返し何度も飽きずに聞いた覚えがある。その後子門真人は繰り返し変なパンタロンを穿いてテレビに登場し、ついでにガッチャマンなどの歌も歌った。
 この頃は歌謡曲もボチボチ聞き出すという年頃であったろうが、やはり子供向けの歌、みんなの歌やら、このたいやきくんのようにポンキッキなどの子供番組で歌われる歌に親しんでいたように思う。幼稚園とか学校で習う歌も素直に歌うし、テレビの歌も結構歌っていたような記憶がある。「飛べ飛べとんび」とか、何故か歌っていた。
 「パタパタママ」とか「黒猫のタンゴ」とかも道を歩きながら歌った覚えがある。最初は堺雅章が歌っていた「北風小僧の寒太郎」なんかも登下校に歌っていたのではなかったか。そうして「たいやきくん」ほどではなかったにせよ、「山口さんちのツトム君」がまた大ヒットした。これは子供心に少し大人の歌という感じはした。なんとなくいやらしいというか。その後「おなかの大きな王子さま」くらいまでは聞いていたように思うが、やはりだんだんと聞かなくなった。
 ところでこのような子供向けの歌を歌う人たちというのは当然のように歌の上手い人たちが多くて、子供心に歌が上手いという基準が、このようなタイプの歌い方という感じがしていたように思う。少年児童合唱団の歌はうまいとは思うが、子供心にはあんまり感心しない。やはり尾藤イサオとかなどが歌うと迫力もあるしさすがだな、という感じなのだった。
 歌謡曲の方は今聞いてみると当時のアイドルめいた歌手においてもそれなりに歌が上手いと思うのだが、それでもやはりひどく下手もいた。というか、段々と下手な人たちが多くなっていくような印象がある。可愛いから多少下手でも愛嬌じゃないか、という気分は子供には分からない。でもアグネス・チャンくらいになると、やはり楽しいとは思ったけど…。森昌子が上手いというのもわかりやすかった。しかしこれはやはり大人にウケる感じなのかも、というのはあった。
 子供でも上手いなあ、と最初に思ったのは、尾崎紀世彦だったようにも思う。凄い声量で素晴らしかった。子供だから真似をするが、こんな声を出せる友人はいなかった。布施明も上手いのだが、子供向けではなかった。
 テレビ主題歌などで知っていて、好きだったのは鈴木ヒロミツで、ドジな感じの役者さんなのに歌が上手いギャップに惹かれたのかもしれない。後になってモップスという伝説のバンドのボーカルと知った。
 しかしながらテレビの歌で何とも凄いと思ったのは、松崎しげるである。当時もドラマなどに出て面白い人というのはあったが、歌になると豹変するような迫力があった。奥さんを次々に変える(実際は3回らしい)ことから、やはり女は歌の上手い男に弱いのかな、と思った。
 ところで歌が上手いということについては他に思い出がある。何故か父の思い出である。山本リンダの歌を歌うと大人にウケるので、ふざけてよく歌っていた。それで、父からなんで山本リンダの歌を好んで歌うのか? と聞かれた訳だ。正直なところウケるから歌っていたと思うのだが、何故か僕は「リンダは歌が上手いから」と答えた。父は怪訝な顔をして、「あれが上手いというのか?」とさらにいう。僕は「だって、あんな歌い方ができる人は他に居ないから」といった。この答えに父はしきりに感心し、確かにそうかもしれない。山本リンダは歌が上手いかもしれない、としばらくつぶやいて僕の頭を撫でた。これは褒められたのかは微妙なのだが、なんだかとても嬉しかったのである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鉄の胃袋と幸運の足運び  ... | トップ | 一人が体験できるもしもの恋... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。