今回は、漫画です。文学と比べて漫画が劣るということは無いし、むしろ日本においては特に、漫画世界に文学世界の才能がなだれ込んでいるのではないか、と思えます。いったんしか紹介はできませんが、きっと世界が広がるはずだという確信を持っているのです。
水木漫画というのはものすごく傑作が多いのだが、多少落語のようにバカバカしいものが多いのも実際の話だ。そうなんだけれど、短いものでもよくまとまって凄い作品もたくさんある。伝説の名作である「テレビくん」も「丸い輪の世界」も編入されている。ぜひ驚いて読んでほしい。僕は「のんのんばあとオレ」を特にこよなく愛しているのですけど、村上春樹の「蛍」が「ノルウェイの森」になったように、「丸い輪の世界」は「のんのんばあ」につながっているんだな、ということをわかってほしいと思います。
石ノ森章太郎は、絵がすごいというのがまずあるんだけど、もちろんそのストーリーの展開自体も素晴らしいものがあります。いわゆる原作のあるものですが、これは凄みのある作品です。表現に「ガーン」とくるってのがありますが、まさに読んでいて、そういう「ガーン」と来るはずです。
岡崎京子の評価の高さは当然だと思うものの、今もちゃんと読まれているのか、と思ったりします。いや、読まれてはいるのだろうけど、もっと読まれるべきだと、僕は思うのです。駄作のない人なので、何を読んでもすべて〇。本当にすごい迫力を持った作家さんだと思うのです。
今回見つからなかったんだけど、「ヘルタースケルター」など、どんどん読んでくださいね。
楳図かずおの短編も凄いのです。これも貸したのだろうと思うのですが手元になくて残念ですが、その中でも特に「ねがい」は読まれるべき作品です。僕は思わず笑ってしまったのですが、しかし本当に涙があふれて仕方ない感動作です。これで泣く人のほうが少数かもしれないんだけど、泣けて泣けて仕方ない。漫画って凄いなあと本当に思うのです。
僕はもともとSF作品に対して若いころに愛着を感じていたわけですが、ドラえもんをはじめとする藤子不二雄作品群のことを、真剣なSFだとは感じていませんでした。しかしながら、藤子不二雄の「ヒョンヒョロ」は別でした。これはすさまじくSF的で、そうでありながらギャグでもあり、ホラーです。構成も素晴らしい。ぜひ読まれるべき作品です。
つげ義春は、多くの傑作が並びながら、やっぱり人を選ぶところがあるように思います。傑作「ねじ式」は、正直言って衝撃が強すぎる割に、やはりわかりにくいですし。さらに面白すぎる「無能の人」も、この面白さが普遍的だとは思われません。でも、こういう作家性の強い作品こそ、人がものを読んでいくことのだいご味ではないでしょうか。
世のなかには、よくわからないのに凄い、というのがあります。凄いのだけど戸惑ってしまって、結局よくわからないです。でもですね、やっぱりそれでも面白いので、読まれるべき作品はあります。まどの一哉「洞窟ゲーム」は、そんな作品なのです。
諸星大二郎は大好きな作家です。何を読んでもいいんです。「栞と紙魚子」シリーズが比較的とっつきやすいかな、と思って紹介します。まあ、普通に面白いんで、どんどん読み進んでいくに違いないのです。
そうして、「不安の立像」のように嫌な感じになっても読み進んでほしいです。
これからはちょっとしたホラー作品を。絵ではそんなに怖いと思わないかもしれませんが、面白いですよ~。
ガラスの仮面はもちろん世界を代表する漫画の名作ですが、この短編ホラーはほんとに素晴らしいです。
そうして山岸涼子。これはほんとに実話なのか! と驚愕します。こんなことが起こってしまうと、困るにちがいないんですが…。
そうして僕の青春の書。十代の後半から大人になるころに、これらの作品こそ、僕や友人を支えた作品群ではないかと思われます。改めて絵も上手いんですよね。作家にも影響があったのは間違いないのです。