世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

色町の名残を残す神楽坂の近くには、レトロな建物も数多く残されています

2015-08-16 08:00:00 | 日本の町並み
 隅田川の浅草の対岸、スカイツリーの北側の向島には、昔かたぎの職人さんが伝統工芸を守り、現役の検番のある色町の名残のある町でした。東京には、色町の名残のある町並みが点在し、格子の連なる古い町並みが残されているところが多いのですが、今回はそれらの中で神楽坂を取り上げ、その周辺を含めて紹介します。

 
 
 神楽坂は、地下鉄東西線の神楽坂駅と大江戸線の牛込神楽坂駅の周辺に広がる町並みです。神楽坂の名前の由来は、諸説があるようですが、一説には、神輿が神楽坂を上るときに重くて難渋した時に神楽を演奏したら楽に上れたとのこと。大正時代頃から、花町として隆盛を極め、現在もその名残を残した、どことなく色っぽい町並みになっているようです。ただ、マンションやけばけばしい店舗が虫食い状態で増えて、特に表通りはどこにでもあるような町並みになりつつあるようです。

 
 
 かつての風情が比較的残されているのは、表通りと直行する路地沿いで、かつての待合の旧常盤家本館もこのような場所にあります。路地の先が坂になっていて、俯瞰できる所も坂の町らしい景色です。毘沙門天の善國寺は表通りに面していますが、赤城神社は、路地の奥に建っていて、同じ寺社でも趣がまるで違います。

 
 神楽坂の表通りになる早稲田通と南にある靖国通り、そして西に南北に通る外苑東通りに囲まれた三角形のエリアには趣のある建物が数多く残っていて、散歩には楽しい場所です。一之瀬家住宅は、昭和初期の木造建築で、下見板張りの外壁の美しい建物です。新井家住宅は、フランス瓦で葺かれた洋館で、タイル張りの外壁を持つレトロな建物です。さらに、異色の建物としては、一水寮という、かつて大工寮として建てられた木造2階建ての集合住宅が、現役で使われています。記憶が怪しいのですが、大島渚監督が若かりし頃に住んでいたとか。また、建物は残っていませんが、尾崎紅葉の旧居跡もこのエリアにあります。

 今回の取材では訪問できませんでしたが、神楽坂には矢来能楽堂があります。毎月定期の能楽公演が催される舞台があり、仕舞や謡の教室もあるようです。能楽は、歌舞伎と同様に、原則的に男性のみによって演じられますが、女性役の演者も男性の声のままで歌舞伎の女形のような声色は使いません。また、女性の能面を付けますが、木彫りの面は表情を帰ることができません。面を上下に傾けて、笑いや悲しみを表現するだけです。このところ、コンピュータ制御により、人間に限りなく近い外観と表情が作れるロボットが出現して話題になっています。会社の受付は、このロボットで十分だし、かえって話題性もあるだろうと、導入が進むかもしれません。ただ、これらのロボットは、一つ間違うと不気味なだけで、能楽のように観客の想像力を刺激するということは無いでしょうね。


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