世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

世界七不思議のアルミテス神殿は柱1本になってますが、エフェソスの図書館の遺跡は見事です(トルコ)

2015-08-09 08:00:00 | 世界遺産
 2015年の世界遺産会議では、日本の明治の産業遺産のほかに数多くの遺産が登録されました。会議に参加国で登録の無かったシンガポールとジャマイカでも世界遺産が新規に登録されました。今回はそれらの中で、写真と記録/記憶が残るトルコのエフェソスを紹介します。

 エフェソスは、トルコ南部、世界遺産のパムッカレからイズミールに移動する途中から海岸方向に10kmほど走ったセルチェクという町から海岸よりの郊外にかけて広がる遺跡です。周りは、茶色の丘が続いて、町の近くにはアルテミス神殿の遺跡と考古学博物館が、海岸よりの丘の間には図書館の跡などがちらばり、さらにその先の丘の上にはマリア終焉の地といわれる場所に建つ聖母マリアの家なるものがあります。

 
 
 アルテミス神殿は、紀元前7世紀ごろにアルテミスを祀るために建てられた神殿で、かつては世界七不思議のひとつとされました。紀元前4世紀に破壊され、その後再建されましたが、3世紀に再び破壊されて、現在は柱1本と基石らしきものが散在するのみです。近くにはアルテミス考古学博物館があり、遺跡からの出土品が展示され、その中にはアルテミスといわれる乳房がたくさんある像もあります。
 
 丘の上の聖母マリアの家は、オリーブの木に囲まれた小さな石造りの建物で、紀元30年頃にマリアがこの地でなくなったとされます。長く歴史から忘れ去られていましたが19世紀に基礎部分が発見され、現在は教会が建てられ、信者にとって重要な聖地の一つになっているようです。




 
 図書館の跡などが残るエフェソスの遺跡は、起伏のある広大な場所に、たくさんの石造りの遺跡が残されています。中でも圧巻なのはケルスス図書館の建物で、どこかヨルダンのペトラにも似ているように思います。できた当時は、世界三大図書館の一つで、地震等で大部分が崩壊し、現在あるのはファサード部分だけですが、全部が残っていたら、さぞやすごかっただろうと想像されます。

 
 
 
 
 図書館の跡だけではなく、ここにはたくさんの遺跡が残っています。大きな物は、円形劇場の跡、アーチが美しいハドリアヌス神殿、クレディア通りは列柱街道風です。中には公衆トイレの跡や、売春宿の方向指示まで残っています。とにかく、てんこ盛りで、パッケージツアの限られた時間だけで立ち去るのはもったいないような遺跡です。

 トルコを訪れると遺跡の多さに驚きます。アジアとヨーロッパの狭間にあって、色々な文明が東西に、また南北に通って、その遺産を残した結果であり、またトルコ自身が、外征で得たものの遺産なのでしょう。ただ、現在のトルコは、あまり豊かなようには見えず、多くの遺跡が瓦礫の山状態のように感じます。それに、西欧列強がやってきて勝手にそこいらじゅうを掘り返して、発見だ!と叫んでは、金目のものを持っていってしまったので、よけいに悲惨なのかもしれません。トルコノ文化を破壊した人間は、母国では英雄扱いなんですから困りものです。インターネットが普及して、いろんな情報が手軽に手に入るようになったのはいいのですが、大国の文化が伝統文化を破壊しているうえに、寡占/独占を武器に、自分達の都合の良い規格をグローバルと称して押し付け、富までも奪っているように思います。


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