世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

姿を変えた旧軍隊の建物が生き残った先にはお遍路の行列がある善通寺です

2011-01-30 08:00:00 | 日本の町並み
 駒場公園にある旧前田公爵邸を建築した主は、加賀藩主の末裔で陸軍大将にもなった軍人でしたが、陸軍大将といえば明治期を代表する軍人の乃木希典がもっともなじみの深い人物の一人ではないでしょうか。その乃木希典が初代師団長として赴任したのが善通寺にある第11師団です。今回は、軍都であった名残のある四国の善通寺を紹介します。

 善通寺市は香川県の中央やや西よりにあり、空海の生誕地とされる四国八十八箇所75番札所の善通寺の名前を冠した都市です。明治期に師団がおかれたためでしょうか、現在も陸上自衛隊の基地があり、乃木大将記念館はその基地内にあります。お寺と基地という奇妙に同居をしている町には、お遍路さんの団体とかつての軍事施設の遺構とが同居する町でもあります。

 
 軍都としての遺構は、用途を変えて現役の物が多いように思います。かつての将校クラブであった旧善通寺偕行社の建物は重要文化財に指定されていて、市が所有してイベントホールなどに使用されています。ただ、現在に至るまでは、役所や公民館などとして使われたようで、用途によって改造は受けたでしょうが現役として使い続けられたので生き残れた建物なのかもしれません。会議や結婚式にも使われるようで、訪問した時には結婚式の準備が進行中でした。

 

 乃木大将の資料館も旧陸軍の第11師団司令部庁舎の一部が使われています。こちらの建物も簡易保険局や自衛隊の教育隊などによって使用され生き残ったようです。現在も自衛他の管理下で、音楽隊が使用し一部を資料館として公開しているようですが、見学にはゲートのところで自衛官にチェックされます。さらに、建物までの道路のそばには戦車やヘリ、戦闘機などが展示されています。こちらは2階建てですが、何処となく旧偕行社の建物と雰囲気が似ているようにも思います。

 さらに、別の基地内には兵器庫の跡も残されています。レンガ造りの倉庫が林立するさまはなかなか壮観です。基地の門衛に現在の用途をたずねたところ、通常の倉庫とのこと、軍事機密ではないのでしょうかね。倉庫の連なる先に見えるのが善通寺の五重塔で、兵器庫だったということさえ聞かなければ、平和な風景が続いています。



 さて、兵器庫の先に見えている善通寺ですが弘法大師の生誕の地ということもあってか、白装束のお遍路さんの団体で大混雑です。ただし現代のお遍路さんは寺の裏の駐車場から現れ、歩いて巡礼の遍路をする人は希のようです。壮大な境内は、東院と西院に別れ弘法大師の生誕の地とされる西院にお遍路さんが多いのは当然でしょうか。ただ、これだけ多くの建物がある割には、ほとんどが明治期以降の再建のもので、不思議なことに重要文化財の建物は1棟もありません。




 市内には、丸くて赤い郵便ポスト(現役ではない)や、つたの絡まる家、それに疎水をせき止める堰などがあって、途中下車をしてみて損をしない町の様に思いますが、見所が多くて後のスケジュールが狂うかもしれませんね。




 抜け駆けで特許を取られた時の救済措置が検討されているようですが、軍事機密は特許とはそぐわないのでしょうね。特許を申請するということは、公開することなので、核心の部分は特許には申請しないのかもしれません。むしろ、ノウハウに属する部分のほうが重要なことも多いのではないでしょうか。IT分野も含めて、製造拠点を海外に移すことが盛んですが、このノウハウを盗まれてしまわないか心配です。


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