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2010年の夏には3大ガッカリの人魚姫の像が消えてしまったコペンハーゲンです(デンマーク)

2011-01-23 08:00:00 | 世界の町並み
 世界3大ガッカリの一つのシンガポールのマーライオンは、ガッカリ度が少し軽減されたようでしたが、知名度の割りに相変わらずガッカリ度の高いのがデンマークの人魚姫像ではないでしょうか。今回は、この人魚姫像があるデンマークの首都、コペンハーゲンを紹介します。

 デンマークはドイツと国境を接する半島部とその先のバルト海に浮かぶ島々から成り立っていますが、コペンハーゲンはその東端の島に位置します。現在は、大部分の島の間はトンネルや鉄橋でつながるようになりましたが、かつては島と島の間は列車ごと船に積み込むフェリーが運航されていました。この影響で、デンマークのインターシティは船に細切れで積み込みやすくするため、正面が流線型ではなく連結と切り離しが短時間でできるような形になっています。

 現在は北欧の中では国土が最も狭い国ですが、かつては強大な領土と力を持つ国の一つだったようです。その名残なのかどうか、北欧3ヶ国が共同で運行する航空会社のSASはなぜかコペンハーゲンに直行するんですね。ストックホルムのほうが日本に近いし、そちらへの乗客数も多いのではないかと思うのですが。

 

 他の2カ国と同様に現在も王室があり、アマリエンボー宮殿や女王が宮殿に滞在中の衛兵の交代式は観光の目玉になっています。ヨーロッパの宮殿は、警戒が物々しい日本の皇居と違い、一般市民にも開放されているところが多いように思います。アマリエンボー宮殿もかなりの部分を見ることができますが、ずいぶんとこじんまりとして、町並みの続きのような宮殿でした。この宮殿の近くの運河沿いのニューハウンと呼ばれる地区にはカラフルな木造住宅が連なっています。北欧の町ではカラフルな木造の家並みを見ることが多く、まるでミニュチュアの町並みを見ているような感じがします。

 
 さて、ガッカリの人魚姫像ですがデンマークを代表する童話作家のアンデルセンの童話に基づくものであることは言うまでもありません。像そのものはなかなkよくできていると思うのですが。ガッカリする原因なのですが、この像が海岸からすぐそばにあって観光客などが像のある岩に上ったりしていたり、対岸の工場群が背景に見えたりといったところでしょうか。おそらく、これだけ有名な像ですから、過大な期待を持って訪れてみると、小ぶりで目立たない像であることを発見してしまうことが最大の理由なのかも知れません。この像は、有名な存在であるだけに攻撃対象となるようで、何度も頭や手などを切断されています。現在の頭部は切断された後に、切断された頭部を取り戻すことができず、新たに作成されたものだそうです。しかし、この人魚姫にとって最大の事件は、上海万博への出展ではなかったでしょうか。

 アンデルセンといえば、その彼が童話の構想を練るためにしばしば通ったという公園がチボリ公園です。1843年と日本ではまだ江戸時代に開園されたずいぶんと歴史の長い公園ですが、夏の間しか開いてないのです。冬に訪れた筆者は、門のところから内部のイルミネーション(これは通年行われている様子)を覗いただけですが、伝統食に照らし出されたせいなのか、温かみのある公園のように思いました。この公園をコピーした倉敷チボリは、開園前からごたごたが続き、入園者数もジリ貧状態になり2008年末で閉園になりました。どうもチボリ名前にネガティブなイメージを与えた感じがして残念です。



  
 冬に訪れたコペンハーゲンは夜が長いせいで夜景を見る機会が多くなりました。おそらく6月でしたら夜景を見るのにかなり夜更かしになり、あくる日がきつかったかもしれません。市庁舎の前の広場の周辺が観光客も多くにぎわっていて、雰囲気もいいようでした。

 多くの美術品が事故や故意、さらには経年変化により傷つけられます。修復には大きな労力と費用がかかるようですが、はたして修復されたものが元通りとなる補償はありません。X線を当てたり、絵の具などの材質を分析したりでIT技術の粋を駆使して物理的な特性は解明できるでしょうが、それが作られたときの作者の勢いのようなものは再現は難しいのではないでしょうか。ただ、これらの分析によって、それまで加えられた修復の履歴が判明して、より原作に近い形に戻せたり、今見ている絵の下に別の絵が出てきたりして、面白い発見につながることもあるようですね。


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