世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

看板建築が登録文化財として数多く残されている石岡ですが土蔵造りや出格子のある商家も目立ちます

2020-01-05 08:00:00 | 日本の町並み
 蔵王の東側に紅花の集散地として栄えた村田には土蔵造りの商家が数多く残されていました。土蔵造りは、漆喰を厚く塗って防火機能を高めたもので、木造建築が主流の我が国では防火建築の代表的なものの一つでした。一方、関東大震災後に商店の正面のみに衝立のような看板を兼ねた外壁を設けて防火機能を持たせたものが看板建築です。東京の下町などに数多く見られ、その一部は江戸東京たてもの園に移築し保存されていますが、東京以外でも川越や三島などに残されています。今回は看板建築が、かなりの数で残されている茨城県の石岡市を紹介します。

 看板建築とは、関東大震災以降に建てられた木造建築の様式の一つで、コンクリート造りの防火建築を立てる余力のない商店などが、通りに面した部分だけを金属や石造りにしたもので、あたかも看板のような外壁を持つことからこのように呼ばれるようになったようです。東京の築地やたてもの園などで見かける看板建築は、銅板が張られて緑青で真っ青になったものがよく見られますが、石岡の看板建築は、石やモルタル、それにタイルなどを張ったものが目立ちます。

 
 
 石岡市は、常磐線で上野から1時間半、特急では1時間足らずの7万人規模の都市です。かつては、鉾田との間に鹿島鉄道というローカル線が走っていましたが、2007年に廃止になっています。この廃線跡の一部は、茨城空港へのバスの専用道路として使われています。この石岡駅に2つの木になる展示パネルがありました。一つは、石岡で育った切り絵画家の滝平二郎さんの切り絵をステンドグラスに仕立てたもので。橋上駅の通路のガラス場殿前にずらりと飾られています。このガラス窓は南を向いているので、通常のステンドグラスとは逆に外光で光っています。もう一つは、忠犬タローのパネルで、石岡駅で飼い主とはぐれ17年間も飼い主を探して駅に通い続けた犬のものです。どこか、忠犬ハチ公とも似ていますが、絵本にもなり、駅前には銅像まであるのもハチ公と同じかもしれません。駅前といえば、石岡で秋に行なわれる常陸国総社宮の例大祭で使われる大きな獅子頭も鎮座していました。


 看板建築がある町並みは、鹿島鉄道が走っていた駅の東側ではなく、西側の400mほどのところを鉄道とほぼ平行に南北に伸びる中町通りに集中しています。看板建築だけでなく、土蔵造りや、出格子のある商家もあって、なかなか見ごたえのある街並みになっています。

 
 
 
 駅から西に延びる通りを400mほど行くと途中に飯田屋という佃煮屋さんがあり、看板建築ではありませんが出格子のきれいな商家で、その先にはレトロなモルタルの石岡印刷があります。中町通りに突き当たって左折してすぐに右に入ると平松理容店兼住宅で、ギリシャ建築風の看板建築、ファサードの頂上部にアカンサスが彫られています。通りに戻り右手にあるのが、森戸文四郎商店でこちらはアールデコ風の看板建築です。森戸商店の手前を左に入ると喫茶四季で、こちらもギリシャのコリント様式を模した看板建築です。中通りに戻り少し行くと右手にきそば東京庵があり、こちらは純和風の出格子のある建物です。

 
 
 東京庵の先を左手に入ると栗山呉服店で、こちらも2階部分に格子に組子を組み合わせた純和風建築です。中町通りに戻り直進すると、両側にずらりと看板建築や和風建築が並んでいます。右手のすがや化粧品店は、ギリシャのイオニア風の三角形のファサードを持つ看板建築、左手には十七履物店、久松商店、福島屋砂糖店が軒を接して並んでいます。十七履物店は持送風の頭注飾りがあり最も古い看板建築の一つです。久松商店は下見板張りの外壁にかつては銅板が張られていました。3軒の右端の福島屋砂糖店は土蔵造りの和建築ですが、漆喰ではなくコンクリート製なのだそうです。その先の右手には丁子屋のどっしりとした黒壁の和風建築が建っています。この建物は、石岡の大火で焼け残った数少ない和建築なのだそうです。最後に、中町通りをしばらく行って左に入ると府中誉れの造り酒屋で、表からは店舗で使われる和建築しか見えませんが、奥には全部で7棟の登録文化財の建物があるそうです。

 看板建築は、木造建築を安価に火災から守る手段として流行したようですが、それまでの土蔵造りに比べて防火の効果がどれくらいだったのでしょうか。IT分野では、ICメモリの集積度が桁違いに高くなり、1bitを記憶するエネルギーも小さくなるため、放射線で誤動作する恐れがあるといわれ来ました。メモリに限らず、集積度が高く高速で動作するICではソフトエラーと呼ばれる現象が生じます。特に人工衛星など、宇宙空間で動作する電子回路では、宇宙線の影響が大きいため、電子回路を宇宙線から遮蔽するものが必要だそうです。宇宙線はあらゆる方向からやってくるでしょうから、看板建築のように正面だけの防御とはいかないでしょうね。


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