世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

白壁と茶色の格子が並ぶ引田の中でマゼンタ色の壁はなぜかマッチするように思います

2014-11-09 08:00:00 | 日本の町並み
 畑の続く風景の中の方形の大仏様の浄土堂の中で、日没前に阿弥陀三尊像がオレンジ色の光の中に浮かぶお寺が小野市の浄土寺でした。赤という色は華やかさの中に、危険な匂いもする扱いの難しい色の一つです。ベンガラを混ぜた漆喰で塗られた町並みが続いていたのは岡山の吹屋で、赤の中でも渋い色の壁が印象的です。ところが、岡山から海を渡った香川県の引田(ひけた)には原色のマゼンタ色に近いど派手な壁のお醤油屋さんがあります。これが、漆喰で固めた屋根やなまこ壁との組み合わせで意外と絵になる風景を作っています。今回は、香川県の東の端にある引田を紹介します。

 引田は、香川県の最東端に位置する東かがわ市の一部で、徳島と高松をつなぐJR高徳線の引田駅が最寄り駅になります。徳島と高松とのちょうど中間あたりで特急停車駅なのですが、徳島から各駅停車で向かおうとすると本数が少なくて不便です。高松と間の区間運転の各駅停車の列車があり、高松までの足がほどほど便利なのは、ここが香川県なのだと感じさせます。

 現在は街中で人の姿をあまり見かけない静かな町ですが、町の歴史は平安時代まで遡るようです。北側に突き出た半島の城山が風除けになる天然の良港「風待ちの港」として開かれたそうです。その後も、中世には引田城ができ、港を利用した物資の集散地として発展し、さらに安土桃山時代に起こった醤油醸造は現在まで続く産業です。古い町並みは、醤油醸造や港を利用する流通業の建物が多いようです。

 
 
 古い町並みは、引田駅から北の方角の引田港に至る500mほどの間に広がっています。マゼンタ色のベンガラ壁をの持つお醤油屋さんの「かめびし」は、川の向こうに誉田八幡宮が望める、こちらも真っ赤に塗られた御幸橋の手前にあります。「かめびし」は、江戸中期の18世紀に創業し、現在も現役で醤油の醸造を行っています。場所はさぬきなので、こちらで醸造をしたお醤油を使った「さぬきうどん」の店が併設されていました。

 
 
 井筒屋敷は、「かめびし」の手前にあり、かつては醤油や長家を醸造していた商家ですが、現役ではなく博物館とお土産屋の役割をしています。こちらは白漆喰に格子の仕上げで、普通に見られる土蔵造りの商家の遺構です。庭には、かつて醤油作りに使った木ダルが並べられていました。

 
 江戸時代から続く産業は醸造業ですが、明治後期に興った手袋製造は、90%という驚異的な全国シェアを誇る産業です。井筒屋敷の並びには、かつての手袋工場を利用した、東かがわてぶくろギャラリーがあって、手袋の製作過程がわかるだけではなく、手袋を利用したアートが楽しめます。日本一長い手袋が展示され、手袋を花に見立てたオブジェが飾られていました。

 
 
 このほかにも、日本家屋の中のレトロな洋館である、かつての郵便局の建物を利用した風の港館という名前のギャラリーと併設のカフェーがあり、青色の漆喰が塗られた土蔵造りの家など、かなりのボリュームの町並みが残っています。

 IT分野の半導体製造、液晶製造さらにはマイクロマシンの工場では、ほこりなどが全く無いクリーンルームは必須です。ほこりがあると製品の必死つが下がって使い物にならなくなるからです。この部屋に出入りをする人間は、防塵福などを着た上で、前室でエアシャワーを浴びてほこりを落としてからでないと入室できません。この時に、手にはめるのがクリーンルーム用の手袋で、この手袋も東かがわ市が主生産地のようです。ほこりの元となるめばが出ず、耐熱性、耐磨耗性があり、滑りにくい、などなど、普通の手袋に比べると要求される仕様は高いようで、電子産業はいろんな産業で支えているんですね。


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