世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

家並みの前の庭の木々に積もった雪が郷原宿をより美しく見せていました

2010-12-26 08:00:00 | 日本の町並み
 小倉から分岐して長崎に至る長崎街道は江戸時代にシーボルトも通ったかもしれませんが、小倉から2番目の宿が木屋瀬宿でした。2番目というのはとかく忘れられやすく、東海道の川崎宿、中山道の蕨宿、甲州街道の高井戸宿など宿場の面影すら残ってところが多いようです。それらの中で、北国西街道の基点の洗馬から2番目の郷原宿は、街道沿いの美しい町並みが残された宿場町です。

 郷原宿は、中山道の洗馬宿から分岐して松本を経由して善光寺平で北国街道に合流する脇街道の北国西街道2番目の宿場町です。JR篠ノ井線の広丘の西に塩尻に向けて南に伸びています。街道に沿って1kmほどの宿場町だった町並みは、ところどころは虫食い状態で新しい家に建て替えられていますが、宿場町の雰囲気を良く残しています。


 
 町並みは通行量がかなりある車道に沿っているために、車の通行が気になりますが、家並みの前に細長い庭があって、散歩の時にも逃げ場になって助かります。庭に木が植えられている家も多く、景観にも好ましい印象を与えているようです。他の宿場町では、建物が通りから直接立ち上がっていて、建物の前面にゆとりがありませんが、郷原では遊びの空間が建物をより美しく見せているように思います。民芸運動の父と言われる柳宗悦(やなぎ・むねよし)が「宿場全体が、見事な作品」と絶賛をしたのもうなづけます。

 このブログの2010-09-05版に郷原宿の近くの塩尻宿を紹介しましたが、場所が近いためか、建物の特徴が似ています。それは、妻の上部に三角形の妻飾りを揚げていることで、この飾りは「雀おどり」と呼ばれているようです。どことなく兜の飾りを見ているようで、壁面からの屋根の張り出しも深く、どこか威圧感すら感じます。各家の前には、宿場町であった頃に建っていた家屋の名前や役割が表札のように掲げられていて、かつての町並みを想像できるようになっています。資料館などでCGなどにより町並みを再現した写真などが見られることがありますが、郷原のような手法は現地で想像を働かせられるので面白いやり方かもしれません。

 
 訪問したのは3月も中旬でしたが、時折小雪が舞って、屋根や木々には前日に降ったらしい雪が積もっていました。さすがに寒かったのですが、雪が余分なものを隠す効果もあって景色がより美しく見えました。雪を被った木の中には花を付けた梅の木もあって、赤と白のコントラストの中に春はもうすぐ!というサインです。

 郷原宿の西には、長野県の空の玄関である松本空港があり、現在も塩尻周辺は交通の要のようです。松本空港は標高が600mを超え国内で最も高いところにある空港ですが、航空機にとって標高が高いということはマイナスなのですね。揚力が減ることで、実効的な滑走路長が短くなってしまうそうです。さらに、航空機の着陸を電子的に補助するILS(Instrument Landing System)と呼ばれる計器着陸装置も設置されておらず、天候に左右されやすい空港の一つです。長野五輪の時には一時的に利用者が増えたようですが、現在では激減し、路線も2路線を残すのみとなっています。GPSの技術を応用した、より高度なシステムの設置も検討されているようですが、そもそも需要の少ないところに投資が必要なのでしょうか。


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