因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋通信35号完成

2010-05-22 | お知らせ

 因幡屋通信の最新号35号が完成し、各劇場あてに発送いたしました。
 今回のお題は以下のとおり、カラーはクリームイエローです。
 *戯曲(ホン)から入る~横山拓也(売込隊ビーム)『エダニク』について書きました。「最近リーディング公演の記事が増えてきましたね」と知りあいから指摘されているなか、舞台をみたこともない、戯曲そのものを取り上げてしまいました。本作は第15回劇作家協会新人戯曲賞の最優秀作品に選ばれた戯曲です。本作ふくめ、最終選考に残った5作品を収めた『優秀新人戯曲賞2010』(劇作家協会編 ブロンズ新社刊)を読みました。この賞の「選評」がネットに掲載されております。審査員の方々が若い劇作家に要求するレベルの高いこと、厳しいこと・・・。
 *何て綺麗な月~二兎社公演 永井愛作・演出『かたりの椅子』

 えびす組劇場見聞録も34号を刊行しました。こちらはもえぎ色です。
 *しあわせ家族幻想~アル☆カンパニー公演『罪』
 どちらもよろしくお願いいたします。

  『エダニク』は食肉の解体・加工作業を行う屠場を舞台にした作品で、宮崎県を中心に口蹄疫の感染が大きな波紋を広げるている今、はじめて読んだときとは違う印象をもって、再び味わっています。ひとつの戯曲を何度も繰り返し読むのは、最近では昨夏のデイヴィッド・ハロワー『雌鶏の中のナイフ』以来でしょうか。戯曲との出会いは演劇に対する楽しさを倍増させます。しかしその一方で、自分の心のなかで作り上げてしまうイメージが強すぎて、実際の舞台をみるときにぎくしゃくしてしまうことがあり、要注意です。

 最近原稿を書き上げて、「これで完成だ、入稿するぞ」ときっぱり思いきれないことが多くなりました。推敲のぎりぎりになって、誤字脱字のチェックだけでなく、内容じたいに「これでいいのか」と迷いがわきおこり、かといって潔く最初から書きなおす勇気もなく、情けないかぎりです。以前は「書きあげたら何を食べよう」とか「何を買おう」などと自分へのご褒美(といってもハーゲンダッツのアイスクリームを食べるとか、夕食にビールを1本つけるとか、その程度)を用意していたのですが、それすら何だが後ろめたくて気がすすまないありさまです。
 4月は興味深い舞台に多く出会えた「当たりの月」でしたが、通信、見聞録の締切の時期でもあり、『かたりの椅子』以外、長い劇評に結びつけることができませんでした。舞台をみてから「まとまった劇評を書こう」と決められずに迷う日々が自分はあまり好きではないのですが、ならば恐がらずにとにかく書いてみることを心がけたいと思います。

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