因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

アロッタファジャイナ第7回公演『偽伝、樋口一葉』

2006-12-11 | 舞台
*松枝佳紀作・演出 金子修介監修 新宿シアターモリエール 公演は10日で終了 公式サイトはこちら
 冷たい小雨の中、劇場入り口には既に列ができている。チケットの引き換えのために受付にいくが、自由席なので外に並ぶように言われる。チケットには番号が記載されているが、その番号順に並んでいる様子はなく、そのような指示もなく、かと思うと入場している人も。スタッフが少ないわけではなく、丁寧にしてくれているのだが、並ぶのか入場していいのか、傘の引換券を出すのはいいが、半券を渡す指示がない等々肝心なところがわからないので非常に戸惑う。他の劇場ならまったく問題なく普通にされていることなのに。開演が少し押す旨アナウンスがあったが、定刻10分以上過ぎているのに悪びれた様子もなく入場する人が多くて、ちょっとびっくり。客層がいわゆる演劇のそれと異なるような感じである。そんなわけで、開演までの気分は最悪に近かった。

 当日チラシには主宰の松枝による挨拶文があり、本作上演までの経緯が記されおり、監修に映画監督の金子修介が関わっていることはじめ、並々ならぬ思い入れと熱意が伝わってくる。事情を知らない者にとっては戸惑い、引いてしまうほどの熱さである。

 登場人物は皆白の衣装をつけている。髪型も現代風で、一葉を演じる女優が二人いたり(満島ひかり、広澤葵)、一葉が思いを寄せる半井桃水が、その年代によって3人登場したり、彼の翻訳した小説が劇中劇のように演じられたり、なかなかに凝った作りである。描きたいこと、伝えたいことがたくさんあり、その情熱がさまざまな形で表現されているのだろう。秋に永井愛作・演出の『書く女』をみていたので、登場人物のことも復習をするような感じで把握することができた。俳優は皆一生懸命な熱演で、とくに主演の満島ひかりの可愛らしい中にも凛とした雰囲気と「一葉を演じ抜くのだ」という気迫は客席を圧倒するものがあった。本公演のチラシやHPにある過去の上演記録をみて、アイドル系の女優を集めたキワモノか?と身構えたが、そのことを申し訳なく思った。

 いろいろな面で、あとひと息だと思う。物語をもう少しタイトに整理し、演出を整え、俳優の演技も訓練を重ねれば(あ、結構ある)、井上ひさしや永井愛も凌ぐ、独自の樋口一葉評伝劇になるのではないか。下北沢の演劇とも、その周辺の高円寺や阿佐ヶ谷のものとも異なる雰囲気が、いい感じで持続し、変化していくことを願っている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« デス電所『夕景殺伐メロウ』 | トップ | 岸田今日子さん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

舞台」カテゴリの最新記事