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イギリス魔女裁判:証言各種

イギリス魔女裁判:自白各種


1. 使い魔(familiar)

エリザベス・スタイル:
[彼女は]蛙の姿をした悪霊を飼っており、自分の脇腹から血を吸わせてそれを養っていた。(Rosen)

マーガレット・フラワー:
彼女は次のように自白した。彼女は二匹の悪霊に血を吸わせていた。一匹は白、もう一匹は黒のブチであった。白い悪霊は彼女の左胸から、黒のブチは性器の内側から血を吸った。彼女はこれら悪霊に魂を与えることを約束し、それらは彼女が命じることを何でもすることを誓った。(Rosen)

フランシス・ミルズ:
この証人は次のように証言した。ソープの隣人たちに頼まれて魔女と思しきマーガレット・ムーンの体を調べたところ、彼女の性器の内側に三つの長い乳首のようなものが見つかり、そこには最近吸われた跡があった。(Haining)

ジョン・コッタ:
魔女のしるし[悪霊が血を吸う乳首のようなもの]は、大抵の場合性器の内側に見られる。(Sharpe)

マーガレット・ベイツ:
二、三日の見張りの後、ベイツの妻マーガレットは次のように自白した。ある日仕事をしていた時、何かが足を上ってきて性器に入っていき、そこに噛みついたのを感じた。それは魔女のしるしが見つかったところである。また別の日、教会の庭にいた時、再び何かが同じところに噛みついたのを感じた。彼女が言うには、彼女の性器には乳首のようなものが二つあり、これらはたぶん一度噛みつかれた時に同時にできたようである。(Ewen)

エレン・ドライヴァー:
エレン・ドライヴァーを監視していたロバート・ウェイツは次のように証言した。三日の見張りの後、彼女は二匹の悪霊を飼っており、それに血を吸わせていたこと、また人間の姿をした悪魔が彼女の前に現れたことを自白した。 (Ewen)

アースラ・ケンプの証言:
アースラ・ケンプは次のように自白した。十年くらい前、彼女は節々が痛くて困っており、これを直すためにウィーリーに住むコックという男の妻(すでに亡くなっている)に会いに行った。彼女が言うには、アースラは呪いをかけられていた。アースラが懇願したので、このコックの妻は彼女に呪いの解き方を教えた。……尋問官ブライアン・ダーシーが「正直に本当のことを言えば罪を軽くしてやる」と約束するなど甘い言葉をかけてやると、アースラは突然膝から崩れ、そして泣き出し、次のように自白し始めた。四匹の悪霊を飼っていること、そのうち二匹が雄で二匹が雌であること……。(Rosen)

ジョーン・アプニーの証言:
ジョーン・アプニーは次のように自白した。ある日彼女は悪霊である蛙をハロルドの家の敷居のところで放し、それはハロルドの妻に噛みつき、血を吸って殺した。しかしこの蛙はアプニーのもとには二度と帰ってこなかった。また別の日、リチャード・フォースターの妻がやってきた時にアプニーが別の蛙を放すと、それは彼女に噛みつき、そして二度と帰ってこなかった。(Rosen)

エリザベス・フランシスの証言:
彼女は次のように自白した。まず、彼女は魔術を12歳のときに祖母から習った。この祖母とはハットフィールド・ペヴレルのイヴおばさんであり、すでに亡くなっている。……この祖母が彼女に魔術を教えた時、彼女は神とその御言葉を棄て、そして血を(この祖母が呼ぶところの)サタンに与えるよう命じた。このサタンとは、祖母が白ブチの猫の姿でエリザベスに与えたものである。祖母がこれにパンとミルクを与えるよう言ったので、彼女はそうした。祖母はこれをサタンと呼び、バスケットに入れて飼うようにと言った。(Rosen)


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2. 悪魔

エレン・ドライヴァーの証言:
エレン・ドライヴァーは次のように自白した。彼女は二匹の悪霊を飼っており、血を吸わせていた。また彼女の前に人間の姿をした悪魔が現れ、彼女はある村で彼と結婚した。彼女は彼と三年間一緒に暮らし、二人のこどもをつくった。(Ewen)

エリザベス・ホバートの証言:
エリザベス・ホバートは[次のように証言した]。30年ほど前、黒い少年の姿をした悪魔が彼女の前に現れ、嫌がる彼女の背中から血を吸った。その時に彼女は、肉体と魂を与えるかわりに気に入らない人間を懲らしめてもらい、さらにお金をもらうという契約を彼と交わしたが、彼は一度もこれを実行してくれなかった。(Ewen)


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3. 悪の誘惑

エリザベス・フランシスの証言:
このイヴおばさんが彼女にサタンをくれた時、エリザベスはこの猫に(「サタンや」と呼びかけながら)お金持ちになれるよう、いろんなものを手に入れられるよう頼んだ。この猫は「よし、何がほしい?」と言った。彼女は答えた、「羊」。(Rosen)

リンダ・テイラーの証言:
リンダ・テイラーは[自白した]。彼女の悪霊たちは彼女に盗みをはたらけと言った。また、自殺してしまえと言った……。(Ewen)

プリシラ・コリットの証言:
プリシラ・コリットは[自白した]。12年前、悪魔が 「おまえの子など殺してしまえ」 と言った。「そうしないとずっと貧乏なままだぞ……」。(Ewen)

スザンナ・スミスの証言:
スザンナ・スミスは自白した。18年前、彼女の前に赤い毛むくじゃらの犬の姿をした悪魔が現れ、自分のこどもたちを殺すよう誘惑した。しかし、彼女は24時間彼と闘い、彼を追い払った。彼女はこどもたちを殺そうとはしなかった。しかし、さらに魔術について話すよう要求されると、彼女の喉に2つの腫れ物ができ、彼女は話せなくなった。(Ewen)


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4. 夢と記憶と取調べの錯綜

マーガレット・モアの証言:
マーガレット・モアは次のように言った。彼女のこどもたちが死んでしまった後、彼女は(夜に)「ママ、ママ」と自分を呼ぶ声を聞いた。それに対して彼女は、「どこ? 何してほしいの?」と訊いた。すると彼らは彼女に「何か飲みたい」と言い、彼女は「ごめんね、ないの」と答えた。すると三番目の子の声が、「おまえの魂をくれなきゃ四番目の子の命をもらう」と言った。四番目の子とは彼女に残された最後の子であった。彼女は「あの子をとられるくらいなら魂をあげる」と言った。すると裸のこどもが現れて彼女の体から血を吸った。(“Witchcraft at Sutton” 277-78)

アビゲイル・ブリッグズの証言:
アビゲイル・ブリッグズは次のように自白した。彼女の夫が死んでからひと月たった時、夫の姿をした悪魔が現れ、彼女の上にのってきた。彼女が「私を殺すの?」と訊くと、彼は夫の声で答えた、「いや、俺はいい夫になっておまえを幸せにしてやる」。(Ewen)

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Barbara Rosen, Witchcraft in England, 1558-1618
Peter Haining, The Witchcraft Papers
James Sharpe, Instruments of Darkness
C. L’Estrange Ewen, Witch Hunting and Which Trial
“Witchcraft at Sutton”

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