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From Jonson (tr.), Horace, of the Art of Poetry

Ben Jonson (tr.)
From Horace, of the Art of Poetry

技を凝らしてきれいな詩をつくるだけでは
不十分。聴く人・読む人を楽しませていい気分にして、
自由自在に操るのがいい作品。
人は笑顔の人といれば
笑うもの。悲しい人といれば悲しむもの。
つまり、わたしを泣かせたいと思うなら、まず君が
涙に溺れること。それでこそ君の傷、ペレウスや
テレポスの不幸でわたしも痛くなる。君の詩が変だったり
下手だったりしたら、わたしはたぶん寝る。それか笑う。
悲しい言葉は悲しい顔にふさわしい。脅し文句は
怒った顔に、軽口は楽しげな顔に。
厳格な人にはいつも重い言葉を。
…………………
上手な文章の根幹・源泉は
知恵と知識、書きたいことについてまずよく知ること。
ソクラテスの書いたものがいい手本。
いつだって主題が決まれば
言葉は出てくるもの、ほとんど自然に、自分から。
国に、友だちに、どれだけ借りがあるか、
どれほどの愛を親に返すべきか、
国民が、外国人が、お客が、
それぞれ政治家に何を進言するか、
法官の仕事は何か、勇敢な将軍は
戦場でどうふるまうかーーこういうことを
きちんと考えたことがあれば、誰だって
ちゃんと人の姿が描けるはず。
賢い作家になりたいなら
人・人のふるまいを模範としてよく見て学び、
そして正確な描写をするように。というのも、
たとえ技巧・装飾がなかったとしても、
もっともな主題を扱い、人物を正しく描いた作品のほうが、
往々にして人を楽しませ、
また人の心に残るものだから。内容のない、
くだらない、言葉だけきれいな雑音のような作品よりも。

詩の女神はギリシャ人に知恵のみならず
それをうまく声にあらわす口を与えた。
彼らが求めたのは人の称賛のみだった。
ここローマのこどもたちは、
ちまちまと計算して
どう器用に1ポンドを百にわけるか習う。
アルバヌス君、5オンスから
1オンス引いたらいくつかな? 12の1/3の
4オンスです。よくできました。
偉いね、これなら君はだまされない。では次に、
そこに1オンス足したらいくつ? ちょうど半ポンド、
6オンスです。お、そうくるか。一度金やものへの欲で
心が腐って錆びてしまったら、
杉の脂(やに)に浸して
きれいな糸杉の箱に入れておきたいような
詩が誰にできる?
詩人の仕事は、ためになることをいって楽しませること。
楽しく学ばせて、正しい生きかたを教えること。

…………………
教えたかったら話は短く。やる気のあるうちに
学べば、学んだことを
しっかり守る。話が長いと
頭からあふれて流れて何も残らない。

楽しい話でも事実に近く。
読者につくり話を本当だと
思わせないこと。ラミアが
こどもを生きたまま食べるとか、ありえない。
まじめな人曰く、教育的意義のない物語には
意味がない。でも意義深くても、つまらなかったら
まじめな人しか相手にしない。他の人には無視される。
結局誰もが求めるのは、
蜜と鞭が混ざった作品。
学びと楽しみは二つでひとつ。

(つづく)

*****
Ben Jonson (tr.)
From Horace, of the Art of Poetry

https://books.google.co.jp/books?id=7D3FGdMj7KwC
pp. 599ff.

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