晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『Mの世界』

2012-05-04 20:39:44 | Weblog

 GW後半、昨日は雨が降り出すという予報だったので、5日の豊平川マラソンのために早朝から10数kmの調整ラン、今日は雨が降り続いていて走れず、明日は雨の中のマラソンになるかも。

 恵庭市恵み野『宙』(そら)というイタリヤ料理店で鉄板焼ナポリタンを食す。パスタの下に卵が敷いてあって熱くてもパチパチと油が撥ねない。麺と卵とのマッチングも良かった。ボリュームも十分。美味かった。

 

 『Mの世界』(三田誠広著 河出書房新社 1988年刊)   

 『Mの世界』は、三田氏が高校生の時、17歳で文藝学生小説コンクールに応募し、『文藝』(1966年9月号)に掲載された初めての小説。

 高校生の主人公(三田氏のMと思われる。)が、学校や家庭でのごくありふれた日常の中で、自分とは何か、他者から自分はどう写っていか、などをしつこい程にこれでもかと問い続ける。その問いは、友人との関係、家族との関係の中で、高校生ならば誰しもふと考えたことのあることだが、それを突き詰めるように考え抜き、表現するところが作家となった三田氏の非凡なところなのであろう。

 三田氏は、11年後の1977年に『僕って何』で芥川賞を受賞するが、そこでのテーマも『Mの世界』で扱ったと同じ、自分とは何なのであろうか、である。

 この頃、人間は10代後半から20代前半で遭遇し獲得した自分の思想や世界観をその後ずっと追いかけるのだなとつくづくと感じる。それほど人間の幹の部分がその頃に出来上がりその後は大きくは変わらないのだろうと思う。

 三田氏は、作品の素材を歴史や哲学に移しているように思われるが、その中で追求していることは、人間とは如何なる存在なのか、ということで変わらないものを感じる。


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