![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f0/1dc00cfbdd0e4380981f3db7789dd534.jpg)
『僕たちは世界を変えることができない』(深作健太監督 東映 2011年作品 札幌シネマフロンティア)
題名にも惹かれるが、見て損の無い映画。推薦、五つ星、感動、平日にも関わらずお客さんもたくさん入っていた。
主人公は医大生、満ち足りているはずが何か物足りない日常、ある日郵便局の窓口で突然「カンボジアに小学校を建てよう!」のパンフに出会う。仲間を誘い150万円を作るため行動を開始。次々と困難に直面し挫けそうになる。
1970年代、東映やくざ映画を実録タッチに作り変えた「仁義無き戦い」の監督深作欣二の子息、深作健太。私は親と同じ職業の二世というのはあまり好まないが、カエルの子はカエル、この映画の手法は今にあって斬新。中でも、カンボジア現地でのシーンは、向井理ら俳優人が台本に基づいた演出や演技ではなく、ひとりの人間として、地雷、HIV、ポルポトによる大虐殺、学校に行けない子どもたち、そして彼らを案内してくれたカンボジア人の本物のガイドがその自分の父が強制労働によって死に至らせられる場面を語るシーンでは、本当の現実と向き合った役者の感動が見るものに伝わる。
サークルの方向性を巡った迫真の討論シーンも大島渚や高橋伴明らの1970年代映画を思い起こす。これらには、脚本のある映画(フィクション)の中でもあえてリアリズム(ドキュメンタリー)を追求する姿勢が共通している。
この映画の挿入歌は、1980年代から活躍しているTHE BLUE HEARTSの「青空」(真島昌利作詞・作曲)
♪運転手さん そのバスに 僕も乗っけてくれないか 行き先はどこでもいい
こんなはずじゃなかっただろう?
歴史が僕を問いつめる まぶしいほど青い空の真下で
私の1970年代では、拓郎ですが
♪何かが欲しいオイラ それが何だかわからない だけど何かが足りないよ
今の自分がおかしいよ 人間なんて ララー ラーララ ラーラ
いつの時代でも若者の心情は不変、「心情溢れる軽薄さ」が貴重。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます