晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

浅野いにお 『虹ヶ原ホログラフ』 その2

2014-11-16 14:53:39 | Weblog

 もう少しで還暦になるということで、赤いちゃんちゃんこではなく、赤い長袖シャツを買ってもらった。今日は、気温3℃と寒かったが、ウインドブレーカーの下に着て13kmほど走った。どっぷりとかいた汗が乾きやすく、さらっとしていて肌に着かず、走り終わった後に身体が冷えることが少ないように感じた。

 

 『虹ヶ原ホログラフ』(浅野いにお著 太田出版 2006年刊) その2

 もう一度読んでみた。物語は現在と10年前の間を往復する。登場人物たちは、10年前もそれぞれのそれまでの因果を背負いながら、先行きなど誰にもわからない瞬間を生きていた。時には自分を殺して周囲に迎合し、またある時は沸き起こる憎悪をこらえきれずに。

 そして、10年後の現在も、大人になった登場人物たちは、忘れようとしていた10年前を様々な出来事によって想い出すことを強いられていた。それぞれは、何気ない瞬間を生きており、それがこのままずっと続くのだと思っているが、ある瞬間「世界に終わりが来る」のである。ある者は、自分自身によって「世界に終わり」を告げるのである。しかし、そんなことになろうなんて、それは誰にもわからない。

 結局、作者は暗闇の中で飛ぶ蝶の意味を最期まではっきりと明かしていなかった。ただ、この物語の全てを見ているのは無数の蝶たちなのである。

 私は、コミック(漫画)をあまり読まないので、他の作品と比べて本書が優れているのかどうかはわからないが、人間の持つ計り知れない奥底を描いた傑作だと思う。

コメント
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