晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『戦後史をよみなおす』 その2

2013-02-20 20:47:08 | Weblog

 著者の福井紳一氏は駿台予備学校の講師、本書はその人気講義を記録したものだ。人気の理由は、有名校の受験に強いからというだけではないと思う。氏の思想に対して生徒の中に肯定、否定の評価はあるだろうが、そこに貫かれている歴史観が脳髄を直撃するからであろう。

 駿台予備学校には、山本義隆氏(元東大全共闘議長)がいる。氏は、3.11についての『福島の原発事故をめぐって』では陳腐な評論を行なったが、『磁力と重力の発見』『十六世紀文化革命』など科学史の分野では素晴らしい仕事をしている。

 また、代々木ゼミナールの人気講師である八柏龍紀氏は、『戦後史を歩く』などを出版している。現在の大学の情況はわからないが、今もっとも面白く真剣勝負の講義をしているのは、予備校ではないだろうか。彼らは、研究所の研究員や大学の先生のように、必ずしも研究に没頭できる環境にはないのだろうが、自分の中で時間をやりくりして、がんばっていることがわかる。

 古代史の室伏志畔氏も大阪府立隔週定時制高校の教師をしながら研究成果を発表している。思えば、吉本隆明氏もある年齢までは特許事務所に勤めながらの仕事であった。

 こんなことを書いているうちに浪人時代(今は無くなったが、札幌には桑園予備校があった。)を思い出した。当時の予備校の授業も道東から出てきた田舎者にとっては、レベルの高い授業で、解法テクニックなどこんなものがあるのかと驚いたものだ。

 旺文社のラジオ講座も聞いた。そして講師の先生に励まされたものだ。数学の勝浦捨蔵先生、鉄則ゼミの寺田文行先生、英語の西尾先生、物理の竹内均先生など名前が出てくる。都会の誘惑に負けながらも(!)がんばった日々が思い出される。

 

 

 

 

 

 

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