晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『戦後史をよみなおす』 その1

2013-02-17 17:20:47 | Weblog

 戸外を走ろうと思ったが外気温-5℃では少し過酷、近くの体育館でラン、インフル後遺症でまだまだ身体が動きません。少しずつ距離を延ばして、スピードを上げてと思っていますが、中々ゆるくないんだわ。

 

 『戦後史をよみなおす 駿台予備学校「戦後日本史」講義録』(福井紳一著 講談社 2011年刊)          

 本書は、是非、安倍晋三総理に読んでほしい。安倍は、「戦後体制の打破」「レジーム・チェンジ」をおちょぼ口から勇ましく叫ぶ。氏の頭の中には、憲法改正、自衛隊を国防軍に改組、核武装、徴兵制、基本的人権の制限といったプログラムがある。国家を守るためには国民の生活を犠牲にしてもかまわない。まして自衛隊員の命など消耗品のようにしか考えていないのだろう。自らは、戦地に赴く可能性はないのだから言うだけタダ。

 話題は横道に逸れるが、先週の国会の委員会で残り3分ほどの時間を待てないで、安倍氏がトイレに駆け込んだという記事が掲載されていた。(日刊ゲンダイ)また、委員会で用意した氷入りの水は飲まず、マイボトルの飲み水を用意している。また、点滴をしている、といった報道(北海道新聞本日朝刊)も出てきている。画期的新薬も効かなくなってきたかな。

 著者は、安倍氏が嫌う戦後体制の成り立ちを丁寧に説明する。敗戦とGHQによる占領、種々の戦後改革の経緯とそれらの考え方を詳しく重点を置いて説明をする。ここを理解できると、その後の占領政策の転換、日米安保体制、高度経済成長、そして冷戦後、ポスト55年体制としての現在については、その延長線上として自然と理解できるようになっている。

 著者は予備校の講師である。大学受験という目標の明確な受験生に対し、毎日が真剣勝負なのであろう。勤務評価は、生徒の出席率と入試の合否で明らかにされる。入試問題は、これ位の知識は持っていてほしい、この程度の事を考えることのできる訓練をしてきてほしいという各大学が求める学生の知的レベルを問うものである。歴史は「暗記」と言われるが、講義では、羅列した知識を覚えてもダメであろう、印象に残るエピソードや講師の歴史観をきちんと述べるなど、インパクトのある言葉で、脳髄に定着されなければならない。著者の講義はこれらを圧倒的にクリアーしているレベルの高いものである。

 1956年生まれの著者と54年生まれの私、本書を読んでその歴史観がサブカル的なことも含めてかなり近いと感じた。安倍総理も同世代なのだが、氏は全く反対側にいる人である。同じような時代経験を経てきていても、なぜこんなに人の思想というのは違うのだろうか。生まれが違う、育った環境が違う、住んでいる世界が違うからなのだろうか。

コメント
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