晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

体罰

2013-01-26 17:14:33 | Weblog

 『人間の條件 全6部』(小林正樹監督・脚本 五味川純平原作 1959年~1961年松竹作品)

 2011年8月にNHK―BSから録画していたが、全篇で9時間30分もあるため中々時間を作れないでいたのだが、今週A型インフルエンザに罹患しお蔭で、熱は下がったが会社へは行けない時間を使って一気に観ることができた。

 ここではストーリーには触れないが、第3篇の望郷篇で軍隊(旧日本軍)という場所がリアルに描かれている。先輩兵士から新兵への暴力、理由もなく一列に並ばせての往復ビンタとリンチ、上官の命令には絶対服従という不条理な縦社会、異質や異端な者に対する陰湿なイジメ、連帯責任という名のもと、全員に対する懲罰教育、敬礼などの所作のロボット化、閉鎖的で逃げ場のない軍隊、敵との戦いのためにという目的によって全てが正当化される。このおぞましい光景は、どこかと似ていないか。

 部活の顧問からの体罰により自死した大阪の高校生の事件が報道されている。これまでは、教育という名の暴力が、全ては勝利のために正当化されてきた。この映画を観ながら、旧日本軍の実態と現在の体育会系部活の論理が酷似していると感じた。

 就職においては体育会系の学生は、礼儀正しく、素直で文句も言わず、積極的で重宝されると言われているが、果たしてそれでいいのだろうか。何も考えず、考えられず、言われたとおりのことを黙々とこなす人材としてはいいのだろうが、何か重大な局面で判断する、何かの打開する方法を考えるなどの場面では、大きな弱点を持つと考える。

 旧読売巨人軍の桑田真澄氏がまともなことを言っている。体罰で負傷し、また、嫌気がさして辞めていった有能な選手がたくさんいた。自分も体罰をたくさん受けたが、納得したことなど無い、許せないという気持ちを今でも持っている、外国ではスポーツに暴力が付いてくることなどありえない、と。

 

 

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