晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『資本の<謎>』 その2

2012-02-18 09:32:07 | Weblog

 第4弾、雪印パーラーにてホットケーキ。隣の席の団体さんが数千円もする巨大パフェをじゃんけんで奢る人を決めてからみんなで食べ、大盛り上がりに気持ちが行ってしまって、あまりケーキの印象が残っていない。

 

 資本にとっては、「アクセス可能な労働力の十分な予備が永続的に利用可能であるかどうか」が重要であり、「マルクスが『産業予備軍』と呼んだものは、資本の再生産と拡張にとって一つの必要条件である。」(P84)「(たとえば、フランスの大家族への補助金のような、国家の側の出産奨励政策は、労働供給条件を資本の側に有利にするというはっきりとした効果を持っている)。」(P85

 

 近年この国でも声高に叫ばれている少子化対策の本質は、長期的に労働力が逼迫すると労賃が上昇し利益率が低下することから、『産業予備軍』を創出し労賃を押さえ込みたいという資本の側からの要請なのである。平たく言うと、「あなたの変わりはいつでもたくさんいるから言うことを聞きなさい。嫌なら辞めてもらっても結構」と言い切ることが出来るための政策なのである。

 

 

 1930年代に生起した世界恐慌以後、ケインズ主義政策の導入などにより資本主義経済における恐慌は克服されたかのように思われていた。「資本主義の恐慌傾向は解決されることなく、ただあちこちにたらい回しされているだけなのである。」(P150

 

「たとえば1970年代に、労働供給の危機を緩和し、組織労働者の政治的力を抑制する動きが起きたが、これは生産物に対する有効需要を減少させ、1990年代に市場における剰余の実現を困難にした。」(P150

 

*この国においては、新自由主義の考え方に基づく、1980年代における中曽臨調行革路線。これにより国鉄、電電公社などが民営化にされると同時に労働組合運動は総評から連合へと右翼的に再編された。賃金は抑制され、国内消費市場が狭まった。

 

「この実現問題を緩和させるために信用制度の利用を労働者階級の中にも拡大する動きが起きたが、これは結局、労働者階級の収入と比較して過剰債務状況を招き、これが今度は、2006年に起こり始めた、種々の債権の質に対する信用の危機を引き起こした。」(P150

 

*リーマンショックである。この危機を克服できたとしても、また異なった形態で恐慌が生起することになる。なぜなら、恐慌が、資本主義の本質的に矛盾をはらんだシステムを「不合理に合理化するもの」(P150)であるからである。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする