晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『満州事変から日中戦争へ』

2007-11-01 20:10:56 | Weblog
 『満州事変から日中戦争へ シリーズ日本近現代史⑤』(加藤陽子著 岩波新書 2007年刊)

 ここまでの日本近現代史シリーズの保っていた質がこの巻で壊れた。一巻づつ著者が違うユニークな編集であるが、全体の流れとしては、それぞれ簡潔な表現で、新書の読者を意識した一定の水準が続いていたのに、残念ながら本書で途絶えた。

 日本近代史の中で、一番興味深い時期なのに、本書を読み通すことに、疲れを感じた。細部にわたる緻密な書き込みはあるが、なぜ満州なのか、日中戦争の泥沼に向かってしまったのか、端的な説明がほしかった。

 この国の現在の情況を考える上でも、この時期から学ばねばならないことが多いはずなのに、こう難しくては、得ることができない。

 このシリーズが、完結した時、この一巻が痛恨の一巻になるのではないか。著者のみならず、編者が出版にゴーサインを出したことに抗議したい。版を改め出版してほしい。



 

 

 
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