『女工哀史 (岩波文庫 青 135-1)』の著者細井和喜蔵(1897―1925)の妻高井としを(1902―83)の自伝。
10歳で紡績女工になり、労働運動を通じて和喜蔵に出会い、自らの体験を伝え、事実上の共作者として夫の執筆を支えた。
第2次世界大戦を挟んだ貧しさのなか、ヤミ屋や日雇い労働で5人の子を育てながら、社会保障を求めて闘いつづけた人生である。
女工哀史は、大正時代の紡績産業を支えた女工の過酷な労働条件を告発した本として読んだことがあるが、その妻(事実婚)のとしをさんが1983年(昭和58年)まで生きていらっしゃって、福祉を求めて闘い続けていたとは全く知らなかった。
2016年の今でもブラック企業というのはあり、私が知る会社では想像もできない労働条件のところもあるようだ。
高井としをさんのように、学ぶことを知り、戦前の警察を経験した著者ならではの度胸を持つ人材がいれば、ブラック企業の労働条件も改善されるのだが・・・。
貧しければ学べないのも仕方ないという風潮を作ると、そのような環境の中からは人材は生まれてこないと思う。
目次
1 『女工哀史』日記
2 ヤミ屋日記
3 ニコヨン日記