葉室麟さんが2017年12月に突然亡くなって以来、新しい作品が読めないと悲しく思っていた。
この本は、葉室麟さんが、「乾山晩愁 (角川文庫)」「墨龍賦(ぼくりゅうふ)」「孤篷のひと」の自著解説を洛中洛外を歩きながらする。
また、人勢論、京都案内ともなっている。
非常に興味深い本である。
目次
葉室麟 洛中洛外をゆく。(口絵 32頁)
琳派デザインを確立、自由奔放な兄 尾形光琳
文人画家の先駆け、地味な弟 尾形乾山
◆ 「紅白梅図屏風」「白泥染付金彩芒文蓋物」「色絵竜田川図向付」
●仁和寺「遼廓亭」/鷹峯・光悦寺 下鴨神社/妙顯寺/養源院 とらや/六兵衛窯/阿以波
●流派を作らぬ孤高の絵師 海北友松
◆「方丈障壁画 雲龍図」 「月下渓流図屏風」
●建仁寺/東福寺/妙心寺
茶人と幕府官僚、二つの顔を持つ 小堀遠州
◆ 小堀遠州 鳥の子手茶碗 銘「白浪」 千利休 初代長次郎 黒樂茶碗「万代屋黒」 古田織部 織部黒 茶碗 銘「深山烏」
●南禅寺金地院「八窓席」 南禅寺金地院「方丈前庭」 二条城「二の丸庭園」
葉室作品をもっと楽しむ 京散歩マップ
第1章 尾形光琳・乾山『乾山晩愁』
地味でもいい 葛藤とともに素直に生きる
〜光り輝くものだけが、この世に存在するわけではない〜
●『乾山晩愁』に関連する場所
コラム 「琳派始まりの地・鷹峯を訪ねて」
第2章 海北友松『墨龍賦』
ごく普通に生きて いつしか"何者か"になる
〜生き惑いつつ、生き抜いた孤高の絵師〜
●墨龍賦』に関連する場所
第3章 小堀遠州『孤篷のひと』
調和を重んじ 自分なりの美意識を守る
〜「天下を狙う茶」より「生き延びる茶」を
〜 コラム 葉室さん文化考1 「江戸時代の人にとってお茶とは何だったのか?」
遠州をとおして 生き方を考える
〜生きている喜びを味わい、同時に死を前提にする茶〜
● 『孤篷のひと』に関連する場所
コラム 葉室さん文化考2 「手弱女振りな日本文化と天皇制」
小説の主人公を中心とした人物年表
巻末特別エッセイ 「葉 室 さ ん と『美』」作家•澤田瞳子
楠木新さんの本は「定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)」を読んで興味深く思っていた。
その続編である。
この本も興味深い。
それにしても会社を辞めた後にやりたいことは思いつかないな。