孫崎亨さんは外務省で国際情報局長、各国大使等要職を歴任された方。
領土問題については、興味を持って少しは読んでいたが、初めて勉強した気がする。
色々な視点があるとは思うが、いずれにせよ、冷徹な目で見ることが必要。
「ローマ人の物語」を読んで思うのだが、歴史は結果であり、どのような結果もその時々の人間の選び取ったものだと思う。
日本の国境問題も過去の選択の歴史であり、その結果を学びながら未来を選び取ることが必要である。
突然、元気のよい言を吐けばよいというものでもない。
官僚の連綿と続くノウハウを活かしながらしかし今までの流れとは違う結論を選び取ると言ういことが必要だと感じさせられる。
なお、国際情勢、歴史等々もっと知らなければ、よい未来は選べないと感ずる。
第1章 血で血を洗う領土問題―私がみた現代世界の国境紛争
第2章 尖閣諸島をめぐる日中の駆け引き―戦後の尖閣諸島史
第3章 北方領土と米ロの思惑―大国の意図に踊る日本
第4章 日米同盟は役に立つのか―米国にとっての日本領土
第5章 領土問題の平和的解決―武力を使わせない知恵
第6章 感情論を超えた国家戦略とは―よりよい選択のために
孫崎亨さんは、元外務省・国際情報局長。
<米国からの圧力>をキーワードに戦後史を読み解く。
場面場面で<米国からの圧力>を感じることはあるが、まとめて語られるので理解しやすい。
吉田茂など戦後の政治家の評価がガラッと変わる。
例えば吉田茂は孫崎さんからは対米追随派という評価をされるが、私は過去に読んだ本では自主派だったと思っていた。
白洲次郎のことなどP69でラウエル陸軍中佐の手記の言葉として<外務大臣を補佐していた白洲氏が、われわれを邸内にまねき入れ、サンルームに案内した。>出てくるに過ぎない。
白洲次郎を通じて吉田茂を再認識したものとしては、吉田茂が対米追随派というのはびっくりである。
目次
はじめに
序章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章 冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改定
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変容
第七章 9・11とイラク戦争後の世界
あとがき