苅谷剛彦さんは、東大教授からオックスフォード大学教授に転身した方。
「和製グローバル化」では世界に通用しない、と帯にあるが、そのことがよく分かる本。
本論とは関係ないが、P214の欠如理論が気になった。
孫引きになるが、歴史研究者の故園田英弘さんによれば、
<欠如理論は、西洋の歴史的体験や社会構造を過度に「普遍的」だと思い込むところに成立した。西洋にあるものが、例えば日本にないとする。そうすると、日本の後進性はその欠如したエートスや知識や制度が原因とされてきた。逆に西洋になくて日本にだけあれば、今度はそれが日本の社会の欠陥の原因だとされてきた。>
とのこと。
この思考様式は確かにありそうである。
目次
序章 日本の大学が世界の「落ちこぼれ」になる
第一部 「スーパーグローバル大学」の正体
1 「国際競争力」という幻想
2 オックスフォードから見た日本
3 スーパーグローバル大学のゆくえ――外国人教員「等」の功罪
第二部 文系学部廃止論争を超えて
4 国立大学の憂鬱――批判のレトリックをめぐる攻防
5 文系学問の国際貢献と大学ランキング
第三部 海外大学・最新レポート
6 EU離脱と高度化人材
7 グラマースクール復活から見るイギリスの政策論議
8 どこでも行ける者と留まる者
9 教育の不平等をめぐる国際会議
第四部 ガラパゴスからの脱出
10 大学院競争に乗り遅れる日本
11 成人力がトップなのに生産性が低い理由
終章 「グローバル大学」への警鐘――日本の大学は何をめざすべきなのか?