ライフネット生命保険株式会社 会長兼CEOでいらっしゃる出口治明さんの本。
Amazonの書評を読むと色々だが、世界史を再度勉強しようか、という気にはさせてくれる。
多忙なビジネスマンがこれだけ勉強をし、分かりやすく説明してくれるというのは素晴らしいことである。
目次
はじめに なぜ歴史を学ぶのか
◆第1章 世界史から日本史だけを切り出せるだろうか
――ペリーが日本に来た本当の目的は何だろうか?
◆第2章 歴史は、なぜ中国で発達したのか
――始皇帝が完成させた文書行政、孟子の革命思想
◆第3章 神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
――キリスト教と仏教はいかにして誕生したのか
◆第4章 中国を理解する四つの鍵
――難解で大きな隣国を誤解なく知るために
◆第5章 キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について
――成り立ちと特徴を考えるとヨーロッパが見えてくる
◆第6章 ドイツ、フランス、イングランド
――三国は一緒に考えるとよくわかる
◆第7章 交易の重要性
――地中海、ロンドン、ハンザ同盟、天才クビライ
◆第8章 中央ユーラシアを駆け抜けたトゥルクマン
――ヨーロッパが生まれる前の大活劇
◆第9章 アメリカとフランスの特異性
――人工国家と保守と革新
◆第10章 アヘン戦争
――東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺
◆終章 世界史の視点から日本を眺めてみよう
著者の笠原敏彦さんは毎日新聞の論説委員。2度のロンドン勤務(1997~2002、2009~2012)とワシントン勤務(2005~2008)を経験している方。
イギリスに関する本は色々と読んできたが、最近の状況について知るには良い本だと思う。
2つのテーマが設定される。
<メインテーマは、近代合理主義を育み、世界に議会制民主主義などのお手本を示したイギリス人がなぜ、世襲制の君主制を支持するのかという「エニグマ(謎)」を読み解き、グローバル化する世界における国家、社会とは何なのかについて考えることだ。民主主義の機能不全とアイデンティティの問題は今後、各国に共通する悩みとして深まっていくだろう。グローバリゼーションの最先端を行くイギリスの抱える事情は、多くの国にとって他人事ではないはずだ。
サブテーマは、イギリスとアメリカという「2つのアングロサクソン国家」が主導してきた世界の在り方だ。>
単に出来事を紹介するだけでなく、背景までを追って解説するので理解が深まる。
目次
第1章 ロイヤル・ウェディングの記号論
現代の錬金術/ダイアナのDNAが変える王室/ファイネスト・アワー(歴史への誇り)
第2章 柔らかい立憲君主制
政権交代というドラマ/回避された憲政の危機/揺れる伝統の2大政党制/議会と王権
第3章 女王と政治家 サッチャーの軌跡
階級が違う2人の女性指導者/フォークランド・スピリット 自信を取り戻せ/大英帝国が生んだ「鉄の女」/女王が示した不仲説への暗黙の答え
第4章 階級社会とブレア近代化路線
打破すべき「古いイギリス」/ニュー・ミレニアム/キツネ狩り禁止に見る階級社会の現状/世襲貴族議員の断末魔/ブレアと王室
第5章 アングロ・サクソン流の終焉
アングロ・サクソンの盟友/ホワイトハウス最後の夜/ブレアはなぜ嫌われたか/アメリカを利用した世界戦略/イラク戦争が変質させた英米関係/イギリス、アメリカ、そして世界
第6章 イギリス経済の復元力
「開かれた経済」という理念/産業革命はなぜイギリスで起きたか/イギリス病の発病と克服/モノ作り大国への回帰と金融部門の優位性/外国人投資家に選ばれる理由
第7章 スコットランド独立騒動が示した連合王国の限界
つぎはぎを重ねた統治構造/揺れるナショナル・アイデンティティ/連合王国の歴史的経緯/独立は得か損かのそろばん勘定/消えない独立の火種/試練にさらされる「国家の形」
第8章 激動期の連合王国
ロンドニスタン・テロリストを生む土壌/デジタル時代暴動/漂流する国家像/イギリスはEUを離脱するのか?
第9章 ソフトパワー大国への脱皮
成熟のロンドン五輪/労働者階級の血を引くプリンス誕生/王位継承に布石を打つチャールズ皇太子/キープ・カーム・アンド・キャリー・オン
あとがき ロンドンから見た日本