水谷静夫先生の名を知らなかったが、1926年生まれの方。
コンピュータを用いた言語処理に早くから取り組まれたと紹介されている。また、岩波国語辞典の編纂に、初版(1963年)から第7版(2009年)までかかわられたとも紹介されている。
学校文法が誤っているという鋭い指摘が随所になされる。
理解できたとは言えないが、首肯できる、正鵠を得ているところが多いのではないかと思う。
それにしても、将来は三段活用はなくなり、同市の活用は一段と四段とに落ち着くだろうという指摘の後に、
<例えば、「切符を手に入れたから芝居を見に行こう」という言い方は、6,70年後、どういう形になると予測できるでしょうか。おそらく、「チケットゲットしたからシアターしよう」になるでしょう。もはや動詞のいろいろな圧用はいらなくなるわけです。ますます活用語は末細りになっていく。>(P184)
と書いてあるが、ありそうである。
なお、本書の紹介とは関係ないが、正鵠は射るよりも得る方が、なんとなくしっくりとくる。皆さんはいかがだろうか。
目次
第1章 辞典になぜ改訂が必要か
第2章 日本語が曲り角に、今?
第3章 文法論を作り直せ
第4章 日本語未来図