馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

経過の良くない創傷性角膜炎の羊膜・結膜フラップ

2020-08-11 | 馬眼科学

現役競走馬の創傷性角膜炎。

数日治療したが、経過が思わしくない、とのことで来院した。

やっていなかった自家血清などを加え、点眼回数を増やすよう指示したが、翌日も思わしくなく再来院した。

表層は明らかなメルティングではないが、深くて嫌な感じ。

中央は深く黒い。デスメ膜に達しているなら穿孔する恐れがある。

穿孔したら、眼球、ボールとしてはダメになる可能性がある。

鋭匙で表層を擦って・・・

眼科用メスで格子状に浅い切開を加えて・・・

羊膜を乗せて、縫い付けて・・・

羊膜でカヴァーされた。

眼球結膜を剥がしてきて・・・・

角膜に縫い止めて・・・・

角膜の損傷が治りにくいのは、血行に乏しいから。感染に弱く、修復・再生されにくい。

結膜は血行豊富。

菌(めずらしくは真菌)を抑える免疫が働き、修復を司る細胞やタンパクが運ばれてくるだろう。

                 //////////////////

こちらのボールは娘が推奨のモモを丸ごと使った夏限定ケーキ。

もちろん破裂させて中のドロドロクリームもいただきました;笑

 

 

 



6 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2020-08-12 07:16:10
 素人目にも糸、太く思うが。
 「続き希望」ゼロなんだけど、はとぽっけは3~4か月後の様子、強く希望します。

 回虫の後のそうめん、パスタは食欲なくす先生がいるの、わかる(はとぽっけは平気)。このかわいいお尻のような桃ケーキはただただ美味しそう買うとき躊躇するほうがおかしい。
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Unknown (zebra)
2020-08-12 08:51:27
もっと炎症反応進んでいても良さそうですが何なのでしょう。

もっと丈夫で細い非吸収糸で抜糸前提でいった方が反応少なそうですがそういうものでも無いのでしょうか。

見た目の本体がモモとして、まあ皮は剥けるとして種抜いてるんですよね。
どうやったんだ笑
潰さないで皮に包丁いれる練習したら症例の様な対応もできるかもです。
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>はとぽっけさん (hig)
2020-08-12 20:30:22
拡大された画像のせいで太く見えますが、髪の毛ほどの糸です。引張れば切れます。

このモモケーキはimpactありますよね。でも・・・・
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>zebraさん (hig)
2020-08-12 20:32:41
炎症とは、血管の拡張、透過性亢進、白血球の遊走、サイトカインの放出、etc.ですから血管がない組織だと起こりようがないのです。

このモモケーキは作る手間やモモの選択の苦労を思ってしまいますよね。
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Unknown (zebra)
2020-08-14 07:01:34
血管の新生すら出てこないのは傷害が認識すらされていないのでしょうね。
最初からステロイド使ったりしてもとこうはならないのでしょうか。

牛は第四胃胃穿孔結構するんですよ。
胃潰瘍で済んでる馬の方が免疫を含めてこの辺はロバストなんでしょうかね。
裏表逆の話ですが球体繋がりという事で脱線勘弁ください。
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>zebraさん (hig)
2020-08-15 04:49:59
まったく血管新生していないわけではないのでしょうけど。日数が経てば角膜辺縁から赤く見える血管が伸びてきます。しかし、それまでに角膜穿孔する可能性大です。
ステロイド点眼はしばしば角膜炎を悪化させます。

馬の胃潰瘍はかなり研究されていますが、牛はどうなんでしょうね。おそらく牛も成牛と子牛の第四胃潰瘍はかなり異なると思います。
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