馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

馬の顔色

2015-12-01 | 急性腹症

朝、直腸膣瘻の手術・・・・の予定だったが、診察したら治っていた。

直腸膣瘻はごくまれに自然治癒することがある。

                         -

流産後に調子が悪い繁殖雌馬が来院。

この数日、中程度の疝痛を示し、ひどく脱水している。しかし平熱、あるいはかえって低体温。

超音波検査で腹水増量を確認し、腹腔穿刺で腹膜炎を確定診断した。

しかし末梢血の白血球数は6000ほどある。

腹水のクレアチニン・BUNはひどく高かったが、血清の方がもっと高かったので、膀胱破裂は否定。

消化管損傷か・・・・?

しかし、消化管破裂ならこんな程度にとどまってはいないはず。

輸液して様子を観ることにした。

                         -

午後は、当歳馬の種子骨骨折の関節鏡手術。

終わって、繁殖雌馬の開腹手術する。

ひどい腹膜炎で、すでに癒着が始まっていて・・・・

子宮穿孔が確認され、予後不良と判断した。

子宮頚管のすぐ奥の背側だった。

なぜこんなひどい腹膜炎を起こしたのか、それもまだ分娩予定まで3ヶ月ほどある流産で・・・・わからない。

                        -

午前中から、5時間ほどで20リットル近く輸液しても口粘膜の紅潮、不潔感は変わらなかった。

「状態悪いですからね、厳しいですよ」とは言っておいた。

「顔色」を判断するのはとても重要なことだ。

                      //////////////

斜面にいるのは、クワガタムシ、じゃなくて

3つ叉の角をもつ雄鹿。

相棒は追いかけたがるけど、角を持った雄鹿はけっこう危険。

 

 


10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2015-12-01 21:27:03
 きれいにしていたいと思っても、体調がよくないと清潔ではいられないのはヒトでもおんまさんでもいっしょでしょか?
 飼養動物だと、お世話する人の体調も大事でしょか?
 顔色、ヒトより判断は難しそうですが口腔でわかるのですね。
 鶏だと鶏冠?
 ごく稀な自然治癒。(*^_^*)
 無事に生まれることは当たり前でもあり、そうではないことでもあるように思えます。今妊娠中のおんまさん、無事に出産できるといいですね。
返信する
Unknown (piebald)
2015-12-01 21:47:37
 角を持っていなくても、「雄」は怖いですね。ポニーの雄も、野良犬を、かなり厳しく追いかけていました。柵がなかったら、助からないことも、あったかもしれません。
返信する
Unknown (はちこ)
2015-12-01 23:04:49
お身体ご自愛下さいね
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2015-12-02 04:30:06
春になるとこんな症例が増えるのですが、季節はずれで、それも流産だったので「勘」が働きませんでした。

馬の目つきや顔色がわかるようになってください、と学生や若い獣医さんには言います。そうですか、鶏はとさかで診るんですね。
返信する
>piebaldさん (hig)
2015-12-02 04:32:09
ほ~ポニーの雄もやるもんですね。犬を撃退しますか。
返信する
>はちこさん (hig)
2015-12-02 04:32:38
ありがとうございます。
返信する
Unknown (ken)
2015-12-02 05:28:02
この症例は、
最初に子宮破裂があった。
尿水、羊水が腹腔内に漏出し腹水のBUN・クレアチニンが上昇した。それが吸収され尿毒症を発症した。
子宮破裂あるは尿毒症の影響により胎子が死亡、流産した。
…と、想像すればよろしいのでしょうか?
返信する
>kenさん (hig)
2015-12-02 19:00:25
臍帯捻転で胎児が死亡し、流産し、その娩出中に子宮穿孔し、腹膜炎を起こし、脱水で腎不全となり・・・・と考えています。
返信する
Unknown (はとぽっけ)
2015-12-03 20:13:27
 オラ君、えらいですね。
 ゴルはすごい勢いで追いかけました。小柄な雌鹿でしたが、あろうことか、見事に追いついちゃって、追い越したりなんかして、楽しんでいるようでした。どう教えていいものか、しばし考えちゃいましたヨ。
 子供のころ飼っていたのは猟犬でしたから、勝手には追い回すことはなく、指示をまって、しっぽピーンでした。
 わんこって、特にゴールデンRってどこまでも賢くて、なんて愛すべき性格、能力なんだろって、今でも思います。ちゃんと教えることって大切ですよね。
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2015-12-04 04:22:26
レトリーバーやセターやハウンドなど生まれつき行動が組み込まれているのはどういう仕組みなのか興味深いです。それらの性格がまたそれぞれコンパニオンアニマルとして愛されているのも面白いです。
返信する

コメントを投稿