馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

その馬、凶暴につき

2018-12-14 | 急性腹症

朝6時に疝痛を発見された10歳の種雄馬。

9時に来院したら、軽度の痛みがあって、超音波検査で膨満した小腸が見えた。

「開けましょう」

空腸末端あたりがどこかへ入り込んでいた。

おそらく網嚢孔だ。

分娩歴がある馬だと、腸間膜裂孔とかも考えなければいけないが、種雄馬だからね。

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なんとか抜けてきた小腸の損傷程度は悪くない。

点状出血があり、全体の色調はわずかに悪いが数分で回復し、肥厚はあるが、指ではじくとしっかり収縮する。

回腸にはヘモメラズマがある。駆虫はきちんとされているようだが・・・・・・

とても性格が悪い馬なので、経口投与も簡単ではないようだし、飲み込んでいないのかもしれない。

種雄馬が20頭以上居る種馬所でもっとも「うるさい」馬だそうだ。

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種付けのときなど、立ち上がってほとんど後二本肢で歩いて来るそうだ。

装削蹄はなんとかできるが、注射や歯の治療は簡単にはできない、とのこと。

それでも、痛みが続いていたのだろう、へばっていて大人しい。

本当に元気が回復する前に、退院してもらおう。

その馬、凶暴につき。

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遅くなっても帰ってこないとうちゃんを遠吠えして呼ぶ相棒。

遠吠えして応えてやりたいところだけど・・ね~

かえってきた!