講習会、昼は北海道獣医師会の菅野先生が鹿児島大での講習会の参加報告と、ご自身の重輓馬の診療の経験を話してくださった。
出身地のNOSAIで長く産業動物獣医師として働かれ、参事まで務められ、それでもまだ臨床に愛情をもっておられるのが伝わってきた。
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午後は、部屋を移して、SHCの鈴木吏先生の馬の循環器病の診断・治療の講演。
馬の心臓の位置から、
聴診方法、心雑音から、
超音波画像診断、
心電図、
そしていろいろな症例紹介まで、
とても勉強になった。
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多くの馬臨床家は、「心奇形なんて当たったことがない」とか、
「心臓に異常があったり、止まってしまったら、もう治療対象じゃない」、と思っているかもしれない。
しかし、心臓の異常は実はわれわれが思っているよりはるかに多い。
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鎮静剤を注射する前に、聴診して不整脈や病的な心雑音がないかチェックしているだろうか?
年間、数百頭を聴診していると、年に数頭は異常に気づく。
もし、聴診で異常を判断できなかったとしても、
聴診もせずに、循環器系に大きな影響を与える薬を投与し、馬が死んだり死にかけてから「聴診もしてませんでした」というのと、
「聴診したけど気づけませんでした」というのは、違うことだ。
私は、鎮静剤を投与する前には必ず心音を聴診して、不整脈や病的な心雑音がないかチェックすべきだと思う。
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保険の加入審査でも心音の聴診は重要だ。
家畜共済でも、民間の競走馬保険でも、「心奇形でした」となると保険金は支払われない。
しかし、掛け金は返してもらえない。
そもそも加入させるべきではなかった、ということなのだろう。
加入時の健康診断で見逃したら、それは診断した獣医師の責任なのかもしれない。
そういう事例は何度も経験してきた。
心して聴診すべきだろう。
さて、第1音、第2音、さらに第3音に第4音。それぞれの意味を聴き取りながら聴診できるだろうか?
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私たちが、もっと注意深く心音を聴診すれば、馬の心疾患はもっと見つかるだろうと思う。
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今日は、1歳馬の細菌性関節炎の関節鏡手術。
当歳馬の腰痿のX線撮影。
午後は、1歳馬の鼻出血の喉嚢内視鏡検査。真菌症ではなかった。
月初めの事務処理。たまったカルテのコード記入。
今日は暖かかった。