輸送後、熱が続き、検査のために来院した馬。
肺は普通は空気をめいっぱい含んでいるので、超音波を表面ではじいてしまう。
しかし、肺に黒く描出される部分があるのは・・・無気肺化していることを示している。
その奥には空気を含んだ部分もあるようだ。
左右の胸部を超音波でスキャンしたが、例のごとく右肺後葉下垂部に病巣は限局している。
これが輸送性肺炎の特徴のようだ。
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膿性の粘液が溜まったり、流れ出てきている気管枝を洗浄する。
治療効果もあると報告されているし、
粘液を採材して細菌培養し、原因菌を明らかにし、どの抗生物質が効くかも調べる。
この馬からは、真菌、嫌気性菌、などが分離された。
もう肺の一部は壊死して腐り始めていると表現していいのかもしれない。
鋭意治療したが、数週間後死亡したそうだ。
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JRAの調査や研究によって、競走馬の輸送熱、輸送性肺炎、胸膜炎を予防するにはどうすれば良いのかが明らかになっているのだが、輸送性肺炎が後を絶たないのはなぜだろう?
生産地から競馬場への輸送より、競馬場から生産地への輸送の方が発症が多いことがわかっている。
馬が疲れた状態で輸送されること。
長距離輸送の最後にフェリー輸送があること。
などが要因だろうと考えられている。
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今日もまた重症の輸送性肺炎の馬を診断した・・・・・
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競走馬のTieback&Ventriculocordectomy。
競走馬の腕節剥離骨折の関節鏡手術。
競走馬のThoroughpin(飛節屈腱腱鞘炎・滑液嚢炎)。
夕方、牛の第四胃右方変位。
当歳馬の外傷。