真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「不倫関係 微熱の肌ざはり」(2006/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:関根和美・宮崎剛・水上晃太/撮影:岩崎智之/照明:原春男/助監督:宮崎剛/編集:《有》フィルムクラフト/音楽:ザ・リハビリテーションズ/録音:シネキャビン/撮影助手:竹島千春/スチール:小櫃亘弘/選曲:梅沢身知子/監督助手:水上晃太/現像:《株》東映ラボ・テック/出演:朝丘まりん・山口真里・瀬戸恵子・牧村耕次・竹本泰志・天川真澄)。ポスターでは、撮影のみならず何故か照明まで岩崎智之に。
 大胆な性愛描写が評判の、若手女流作家・水沢光(朝丘)。裏を明かせば、光は女子大生時代に出会ひ系で知り合つた編集者・有明直輝(牧村)との不倫関係を、小説のモデルにしてゐたものだつた。光は、毎日のやうに偏執的なファンレターを寄こして来る、黒田俊一(天川)といふ男に頭を悩ませる。直輝に相談してみても、人気商売だから、よくあることだから、と重くは受け止めなかつた。直輝がまともに取り合つて呉れないゆゑ、光は大学時代からの親友・油井瑞穂(山口)にも相談する。やがて、光の自宅に連日一日数十回の無言電話がかゝつて来るやうになる。光のブログには編集者との不倫関係に関する中傷が繰り返し書き込まれ、光は仕事も手につかなくなり、徐々に追ひ詰められて行く。終には書斎で執筆中の姿やトイレ内、直輝との情事までもが盗撮されたDVDが送りつけられて来るに至る。これは矢張り黒田の仕業なのか、それとも・・・・・?
 わざわざ脚本も三人がかりで、一応は全うにサスペンスを志向した、節だけは窺へはするのだが。土台が登場人物は六人で、尺も六十分ばかりのピンクである。観客があれこれ迷ふ、物理的余地がそもそも存在しない。加へて、親友の男を寝取つた瑞穂の、直輝との濡れ場への入り方の編集の大雑把さや、真相を伝へるべく光の元を訪れた黒田が、PCに向かつてゐた光が振り返るといきなり部屋の中に立つてゐたりするシークエンスの杜撰さが、ただでさへ浅い底をいや浅くしてしまふ。さういふ辺りが関根和美の関根和美たる所以である、といつてしまへば正しくそれまででもあるのだが。
 瀬戸恵子は、直輝の妻・芳美。直輝の不倫を疑ひながらも、切なく夫を求める。手短に濡れ場をこなすと、後にも先にも一切出て来ない。物語の本筋には、感動的に全く絡まない。その濡れ場要員としての潔さには、最早一種のストイシズムすら漂ふ。竹本泰志は、全く同様のポジションの、瑞穂の彼氏・柴田和彦。さうしてみると、元々六人しかゐない登場人物は更に削られ、残りは僅か四名となる、ミスリードもへつたくれもあつたものではない。
 主演の朝丘まりんは「どスケベ坊主 美姉妹いただきます」(2005)の時には特にさういふ認識は抱かなかつたが、この人ただの巨乳ちやんではなく、なかなかの芸達者。瑞穂に猜疑の目を向ける芝居を観てゐて、軽く目を見開かされた。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 未亡人女将 ... 四十路の奥さ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。