真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「女いうれい 美乳の怨み」(2017/制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画/脚本・監督:山内大輔/特殊メイク・造形:土肥良成/撮影監督:田宮健彦/録音:光地拓郎/編集:山内大輔/音楽・効果:Project T&K・AKASAKA音効/助監督:江尻大/監督助手:小関裕次郎・茂出木まり/撮影助手:高嶋正人・鎌田輝恵/特殊メイク・造形助手:新井衣莉果/スチール:本田あきら/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:佐倉絆・涼川絢音・竹本泰志・櫻井拓也・ケイチャン・浅場万矢・須藤未悠・須森隆文・加山なつこ《特別出演》・友田彩也香)。出演者中、加山なつこのカメオ特記は本篇クレジットのみ。 
 職場結婚を挙式目前に控へたミチル(友田)と准也(櫻井)の婚前交渉の、騎乗位のオッパイ開巻。山内大輔が本気を出すと強力な濡れ場を一頻り楽しませ、ミチルは准也宅を辞す。ガード下にて、見るから怖いピエロ(現にピエロに扮してのバルーンショーで飯が食へるケイチャン/ex.けーすけ)を目撃したミチルが逃げるやうにからがら帰宅。依然何某かの気配に怯えつつ、シャワーを浴び綺麗な肩を披露した上で就寝、したものの。寝室の天井には、ピエロが持つてゐた赤い風船が。家内の安全を確認してゐたところ、クローゼットの中から現れたピエロに犯されたミチルは、わざわざ准也宅のベランダから飛び降り自殺する。ミチルの葬儀に参列した、矢張り同僚のユウ(佐倉)とマリ(涼川)が喫茶店に入る。ユウはカウンターの中に、ミチルの幽霊を見る。ユウが口元に運ぶカップでカットを繋いで、「TOKUNAGAメンタルクリニック」。カウンセリングを受ける精神科医の徳永(竹本)に、ユウが死んだ人間が見える旨を告白してタイトル・イン。
 触れられる限りの配役残り、須森隆文は、ユウとマリが二人でお弁当を食べる川原に出没する、スーツ姿の幽霊。歩かせると幽霊にしては覚束なさが逆に心許ない反面、二人の後方から体育座りでユウをじつと見詰める、いはゆるこつち見んなショットは絶品。脱ぐ訳でないにも関らず、何気な佇まひだけで三本柱よりもクッソどエロい浅場万矢は、患者に茶くらゐは出す、徳永の妻・佐知子。乳は見せるが―改めて後述する―画一的なゾンビメイクを施される加山なつこは、虐待を受けてゐた中学時代、ユウが初めて見た老婆の霊。顔を踏みつける足しか映らないユウの母親は固より、暗い画に弱点を抱へる我等が前田有楽の映写に阻まれ、喫茶店のマスターとウェイトレスは特定不能。
 大蔵時代の伝統を2012年にナベが感動の大復活を果たして以降、後藤大輔で躓き、加藤義一も脱力。竹洞哲也が草を生やし、荒木太郎は如何にも荒木太郎的に仕出かす。一勝四連敗中の、ある意味本篇の中身よりも恐ろしい恒例夏の怪談映画の悲惨な歴史に終止符を打つべく、オーピーが今年は外様とはいへエース格の山内大輔を擁した2017年第三作。然れども負けこそしない程度で、引き分けに持ち込むのが精々な一作。ピエロの出自を大胆に等閑視して済ますならば、ひとまづ話は通る。尤も、一旦意図的に通り過ぎたが、確かに友田彩也香ファンは大歓喜にさうゐないにせよ、明らかに異様にマッタリマッタリ回して驚く勿れ尺の1/3を費やす大長アバンと、ザックザク急旋回を繰り返す、あるいは超展開を繰り出し続ける終盤とのバランスの悪さが兎にも角にも最大の疑問手。たとへば五十分そこらでサクッと映画を畳んでみせた深町章の如く、よしんばデフォルトの上映時間を持て余すのだとしたら、必ずしも全部使はない勇気は許されないのか。どうもこの人の映画には痒いところに手の届かない判り辛さが残るのは、編集の仕方と俺の頭、どちらが悪いのかは知らん。女優部を没個性化するほどのトゥー・マッチなゾンビ化粧にも、量産型娯楽映画に敷居の低さを求める観点からは疑問が残る。俳優部が―元々死んでゐる者含め―ほぼほぼ全滅する死屍累々の顛末は、キャンプな鑑賞法としては痛快といへば痛快ながら、みるみる築かれて行く死体の山にケラケラするには、如何せん抜け不足。秘めたロマンは秘められたまゝ尊ぶとして、劇中最強に鬼エロい浅場万矢に脱いで呉れとまでは―あへて―いはないが、好き勝手に任せておくと大体何時も似たやうな肌触りの映画が出来上がつて来る以上、ここはオーピーに積極的に横槍を入れて貰つて、ここいらで一度、物語的には最低限の起承転結で茶を濁し、持てる技術と論理とエモーションの一切合財を絡みの煽情性に全振りした、いはばエクセスよりもエクセスな裸映画を夢精、もとい夢想してみたくもならうところである。ハッテンの手も止まるほどの爆音の官能に小屋が揺れるのを、その時我々は体感し得るのではないかしら。
 備忘録、須藤未悠は准也を刺殺する第四の女


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