真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「喪服姉妹 熟女しびれ味」(2009/製作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/監督:関根和美/脚本:新居あゆみ・関根和美/原題:『ふたり』/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:新居あゆみ/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/監督助手:府川絵里奈/撮影助手:浅倉茉里子/照明助手:松山潤之介/スチール:小櫃亘弘/効果:東京スクリーンサービス/現像:東映ラボ・テック/出演:佐々木麻由子・酒井あずさ・睦美杏奈・天川真澄・久保田泰也・なかみつせいじ)。
 関根和美・亜希いずみ夫妻も弔問客で見切れる自宅葬儀の席で、宮内冴子(佐々木)はスナックを営む妹の石塚リエ(酒井)と、十年ぶりに再会する。時折口に上る“ユミ”といふ名前が、喪主なのか仏さんなのかは不明。何気に、2009年三年ぶりで銀幕復帰した亜希いずみは、六月公開の「折檻調教 おもちやな私」(監督:下元哲、もとい松原一郎/主演:吉行由実)に続く連続登板となる。話を戻して当時、社長秘書職のストレスから酒に溺れ気味であつた冴子はリエの店で知り合つた一樹(天川)と結婚するものの、結婚後も毎晩帰りの遅い夫と妹との仲を疑ひ、以来姉妹は事実上の絶縁関係にあつた。豪勢にも二つ並んだ握り寿司の寿司桶―それともこれダミーか?―に手をつけるでなく、二人は次第に歳月を埋める互ひの話を始める。
 佐々木麻由子と酒井あずさを熟女2トップに並べた上での、さしたる威力も感じさせない小娘要員の睦美杏奈は、自覚の足らないリエの店のアルバイト・霧島杏。イケメン気取りが暴力的に腹立たしい久保田泰也が、杏の彼氏でホストの後藤俊二。店を休んだ杏を詫びにスナックを訪れた俊二を、リエは寝取る。一応大トリ的に登場するなかみつせいじは、一樹との埋まらぬ距離に心の隙間を抱へた冴子が、よろめいてしまふ華道教室講師・沢木隆一。
 佐々木麻由子と酒井あずささへ銀幕に載つてゐれば、後はドラマチックな展開も映画的興奮も、何も要らないといふタフガイには大いにお薦めし得る一作。感動的に動きに欠けるロケーション―リエの店以外の屋内は、要は専ら関根和美自宅で賄つてゐないか?―に加へ、短い姉妹の遣り取りを果てしない長さの濡れ場で繋ぐばかりの、物語の中身も激越に薄い。ひとまづ何となく冴子とリエとが和解して別れるラストの据わりだけならば悪くはないが、幾ら佐々木麻由子と酒井あずさとの2ショットとはいへ、「あゝ、薄型液晶テレビ買ふたのね」といふ関根家の居間だけでほぼ事済ませようといふのは、流石に少なくとも一篇の商業映画としては些か以上に無謀だ、以下か。プアな映画のプアさをチャーム・ポイントと言祝ぐ、さういふ愉楽もなくはなからうが、生憎昨今の誇張ではなく殺人的な暑さにもコロッと屈し、結構致命的な疲弊に息も絶え絶えな折につき、直截なところ波状攻撃を仕掛けて来る睡魔に抗ふのに非常な困難を覚えた。


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