真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「熟女6人 しびれる股間」(1994『妻たちの昼下り 集団不倫』の2017年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:双美零/企画:中田新太郎/撮影:稲吉雅志/照明:伊和手健/編集:酒井正次/助監督:今岡信治/撮影助手:片山浩/監督助手:榎本敏郎/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/出演:井上あんり・扇まや・風間晶・清水大敬・神戸顕一・林田ちなみ・林由美香・杉原みさお・杉本まこと)。
 タイトル開巻、外は薄明るい夫婦の寝室。井上あんりが身悶え、布団の中から杉本まことの声が聞こえる。恐らく日曜早朝の夫婦生活を経て、鳥海達夫(杉本)の妻で、通訳のスキルを持つ真紀子(井上)は京都で開催される国際会議の通訳を乞はれ、一泊二日で出発。一人になり、真紀子への恋情を達夫がグジャグジャ持て余してゐると、縁側から同僚の望月(神戸)が、不倫相手の野口妙子(杉原)とその友人・里見隆子(林)を伴ひ闖入。望月が達夫に隆子を宛がふ形で銘々オッ始める和室に、専務の花田(清水)がやつてゐるなと登場、勝手に上がつて来たのか。花田に随伴して、社長秘書の深山民子(林田)も現れる。依頼退職予定者名簿に載せられた達夫に、望月は花田の社内派閥に入る救済策を持ちかける。ただそれには不倫を総合的な人間力の指標と称揚する、花田と文字通りが本当に文字通りな裸の付き合ひをする必要があつた。大概底の抜けた方便をも、正体不明の蓋然性で通す清大の突破力。
 配役残り扇まやは、電話越しに豹変した花田が猫撫で声で接する妻・雪江、前社長の末娘。風間晶は、雪江の百合の花香る愛人・美樹。
 少々早いが封切りが十二月中旬となると、倍増の女優部六人態勢は正月映画仕様ではなからうかと思はれる、深町章1994年最終第七作。実は明示された人妻は真紀子と雪江の二人しかゐない―真性ビアンの美樹は確実に違ふ、筈―旧題ないし元題に対し、熟女を安売りする2017年題も何れもちぐはぐではある。2017年題と特別に年次を限定したのは何事かといふと、因みに1997年最初の新版公開時の新題が「不倫妻 ザ・快楽園」で、2003年時には「不倫妻 甘い体臭」。一方下の句が、各々のニュートラルさを共有するのも地味に趣深い。
 要は津田スタからほぼほぼ動かない省力撮影で、ひたすらな濡れ場濡れ場に終始するストロング・スタイルの裸映画。さうはいへ一歩間違ふと単調なお休みタイムに堕しかねないところを、後半急展開が二発火を噴き案外素面で惹きつけさせた上で、小粋なラスト・ショットまで駆け抜ける。達夫が陥つた絶体絶命の危機に、公子が伝授する奇策のスイング感も堪らないが、予想外の真紀子行先には素面で驚かされた。現行のデフォルト尺七十分を戦ふには些か薄いネタ―今作五十六分半―とはいへ、構成の妙で潤沢な裸を見せきる小品である。


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