雪うさぎのJunk Yard

へタレ地方私鉄モデラーの独り言と撮り鉄日記

地鉄味わい駅舎紀行 UN-11 電鉄石田駅

2016-05-21 21:24:07 | 撮り鉄日記

 旧富山電鉄区間は終点まであと一つ、三角屋根がシンボリックな駅です。

 

ちょっとやつれていますが、郊外私鉄の高級住宅街やリゾート地の玄関口と言う設定が似合いそうです。軒下には山小屋を意識したと思われる装飾があり、山岳景勝地黒部峡谷を意識したものかも知れませんね。総タイル張りの車寄せの上に掲げられた駅名標が「電鉄」を省略した「石田駅」なんですね。まあもっとも、近隣の国鉄線に同名の駅は無いので、わざわざ電鉄を冠して区別する意義も無さそうなんですが(同名の国鉄駅があるのが福岡県の日田彦山線のみだし)。

隣にはお揃いのデザインの公衆便所が新しく建てられています。街のシンボルとしてこの駅舎が愛されているようです。

  

内装は個性的な外観に対し、割とあっさりしていますが、出札口の張り出しの形状が八角形なのが洒落ています。普通の外観に内装が何故か山小屋風な頸城鉄道の浦川原とは好対照でしょう。

線路側からの眺め。妻面にある丸型のベンチレーター2つ、急傾斜の三角屋根との組み合わせは、かの近鉄橿原神宮前駅を連想させます。

    

ホーム上屋は隣の経田とかと同じ様な形態ですが、濃い茶色に塗装され、ここだけ戦前のシーンにタイムスリップしたようなムードです。この情景にお似合いのモハ7540形やモハ14750形の様な旧めの電車が1輌でも残してあれば...と惜しまれます。

下りホームの乗り場案内板、一番上の「電鉄黒部」は修正した痕跡が明らかなので、まだ「電鉄桜井」と呼んでいた時代から使われてるんでしょうね。

上りホームの傍らには資材倉庫かな? 小さな建屋があります。

 

個性豊かな多数の古駅舎と、多彩な顔触れの電車たち、立山連峰をバックにしたロケーションと共に地鉄の「至宝」です。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-10 経田駅

2016-05-20 22:54:10 | 撮り鉄日記

 そろそろ旧富山電鉄区間も終盤に差し掛かります。最後の3駅は標準型とはまた違う個性派の駅舎が揃っています。

  

正面にある赤いコ〇コーラの自販機が頂けませんが、モルタル造、下半分下見板貼りの北国らしいデザインの擬洋風建築です。ちょっと某アニメ映画の主人公の家を連想させます。

裏から覗いちゃ駄目… 錆びたトタン板を模型でどう表現しようか、頭を抱えたくなります。

 

ホーム上屋は何でこんな色にしちゃうの、と文句も言いたくもありますが、朽ち果て取り壊されて味気無いポリカ屋根になっちゃうよりはマシですが。明らかに後天的に継ぎ足した感ありありですね。駅舎とホームの位置関係も不自然に開いている感じがしますが、もしかしてかつては駅舎とホームの間にもう1本線路があったのかな?

こっちも裏は…

  

室内。正面向かって左側の張り出しが、中から見ると何だか不自然? 同じデザインで後付けかも知れません。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-09 西魚津駅

2016-05-19 21:25:09 | 撮り鉄日記

 築堤上を走る北陸本線の車窓から眺めると、正に良く出来た地方私鉄のレイアウトセクションを見ているような気にさせる駅です。

 

駅舎の形態は例の富山電鉄型、但しここは外壁が釜ヶ淵や浜加積などの様な下見板ではなく、モルタル仕上げです。屋根も単純な切妻屋根じゃなく、前面の庇も横まで回り込んでいたりするので、大分印象が異なります。上田電鉄別所温泉の様な擬洋風っぽくも見えます。

駅名標の切り抜き文字も個性的なフォントの丸文字で可愛いです。

 

ホーム上屋はお約束のタイプですが、雪国らしくがっしりした感じで、石積みのホームともお似合いです。バックにあるのは北陸本線の築堤。

構内の外れにあるこの建物は、保線詰所かな?

 

アルミサッシになっている駅舎が多い中、扉や窓枠も木製のままで残ります。地鉄の多くの木造駅舎の例に漏れず、傷みが目立ってきていますが、ベンチに座布団が有るか無いかで生活感が大分違う気がします。

  

市街地に立地するのに、この時代に取り残されっぷり、寺田と並んで、これこそ「地鉄の駅」を感じさせるシーナリーです。個人的にも、「是非訪れたい地鉄の駅」5本の指に入ると思います。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-08 早月加積駅

2016-05-18 21:14:08 | 撮り鉄日記

 続いてはすぐ隣の早月加積駅、旧富山電鉄区間では珍しい、妻面側に出入り口のある駅舎です。形態的にはプレーンな切妻屋根の木造駅舎で、昔の集会場や公民館の類の建物を小さくした様な感じでです。以前はほとんど消えかけていた駅名標記ですが、何時の間にか新しくなっています。それが旧字体の「驛」の文字...絶対狙ってやっているよな。

 

表側から見るとプレーンだけど、線路側から見るとやけに凸凹なのが特徴? 通路の処理の仕方なども模型的に参考になります。構内踏切が駅舎に直結しており、壁のすぐ前に遮断機があるのがユニークです。ここは未だ如何にもな便所が残っています。

 

対向式ホーム2面2線の交換可能駅です。旧富山電鉄では駅舎がある駅はホーム端に上屋はあることが多いけど、密閉された待合室があることは少ないですね。駅舎の形態にしても、どちらかと言うとイレギュラーですし。

新幹線が出来て特急こそは無くなったけど、521系や高速貨物が頻繁に行き交う旧北陸本線の傍らに、この土盛りのホームがある純ローカル駅と言うのもまたミスマッチぶりが凄いですね。

  

木の引き戸をガラガラと開けると、ひんやりと湿り気を帯びた空気が漂う薄暗い室内、こういう駅も少なくなりました。今は機能していませんが、電照式の列車接近案内装置が残されています。半廃墟と化した隣の浜加積と違い、無人で朽ち具合も大差無いのに、こちらの方が生活感が漂います。

こういう駅には、やっぱりこんな旧めの電車が良く似合います。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-07 浜加積駅

2016-05-16 22:13:04 | 撮り鉄日記

 北陸本線平行区間三連発の最初は浜加積、競合区間で、且つ比較的人口密度が高そうな区間に、何でこんな旧い駅舎が立て続けに存在している?と疑問に思いたくなりますが、この区間では速度でも運賃でも地鉄は話にならない状況なので、ローカル輸送における存在意義が希薄になっている故なんでしょうね。貨物や長距離優等列車の合間を縫って、2時間おきにEF70やらが旧客を牽いて優等列車の退避を繰り返しながらのんびり走っていた時代なら、30分毎に走る地鉄電車が運行頻度でも速度でも圧勝でしたが、国鉄末期に至り、大量に余った急行型電車や寝台電車をローカル転用して高頻度運行を始めたあたりから、地鉄の旗色が悪くなってきました。同様の現象で福井鉄道や一畑電鉄も苦境に陥りましたね。

   

駅舎は近郊住宅地の裏手に忘れ去られたように存在しています。こちらも典型的富山電鉄タイプですが、各駅少しづつ細部に変化があるのがまた楽しいですね。ここも駅舎に合わせた様な木造の便所が有った筈なのですが、撤去されてしまった様です。

車寄せの庇を支える柱の意匠は、この手の駅舎の多くに共通します。

すぐ隣が北陸本線なので、時代に取り残されたローカル駅をよそに、521系や高速貨物が轟音と共に突っ走って行きます。

  

地鉄の他の駅にも多く見られるように、駅舎からホーム上屋まで屋根で覆われており、雨の日でも一応ほぼ濡れることなく電車に乗ることが可能…です。上屋は古レール組併用の木製で、ちょっと風変わりな構造です。

 

一応最低限の保守はなされているようです。寺田と同じ様な造りですが、人の息吹を感じないとこうも寂しくなるものか、と感じました。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-06 中加積駅

2016-05-15 22:36:20 | 撮り鉄日記

 地鉄駅めぐりの紹介も何とか半分以上終わりました。あと一息です。

次は中加積、何だか昔の交番(派出所、と言う昔の呼び名の方が相応しいかな?)みたいな小さな四角い駅舎ですが、良く見るとなかなか味のある駅舎です。

 

屋根は平たい様だけど、僅かに2つ折れになっています。表側はつるっとしていますが、線路側は昔のローカル駅にお約束のディテールが一通り付いている感じです。木製の窓枠や扉がそのままなのが良いですね。

 

トイレもお揃いのデザインで用意されています。こういう所にもこだわりが感じられます。

駅名は切り抜き文字で。上に何か撤去した痕跡がありますが、照明でも付いていたのかな?

 

近代的な様だけど、木製の窓枠とベンチでやっぱり昔の駅になります。上滝の縮小版、と言った感じかな?

金色のペイントでガラスに描かれた「荷物扱所」の文字。唯一の荷電モニ6570形は昭和40年代に廃車となっているし、それ以降は扱いがあったとしても、一般旅客車に便乗で済ませたのでしょうが、何時頃まで営業していたのかな?

  

ホーム上屋は真ん中に古レール組の華奢なのがちょこんと。旧富山電鉄区間の駅ではホーム端に踏切手前までカバーしたタイプが標準的なので、この様なレイアウトは意外にありません。

以前は駅前に農業倉庫が立ち並んでいたそうですが、少し前に撤去されて更地になっており、がらんとしていました。

 

駅の裏方にある木造の立派な建物が気になりました。何かの工場だったのかな?

カーブするホームに車体を傾けながら進入する14760形雷鳥カラー。創業者佐伯宗義氏が、カーブで減速しなくてばならないなら、そこに駅を造ってしまえ、と言ったとか噂がありますが、地鉄にはカーブしたホームが多いですね。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-05 上市駅

2016-05-15 12:02:07 | 撮り鉄日記

 スイッチバックで有名ですが、地鉄の中では、電鉄富山駅に次ぐ屈指の規模を誇る駅です。富山市の近郊区間として利用者数も多いので、電鉄富山―上市間の区間列車も多数設定され、列車本数もここまでは結構多く、データイムでも毎時3本程度はあります。これより宇奈月方面は北陸本線と競合するので苦しいところですが。

 

農協との複合駅ビルで、とにかく規模が大きいです。かつては食品スーパーやボウリング場なども入居していましたが、既に撤退済みで、大きな躯体を持て余している状態です。

築40年以上を経て、時代を感じさせる造りですが、昭和の時代の国鉄や大手私鉄の主要駅と言っても通用しそうな佇まいです。

空き店舗になっている所が多いですが、これまた昭和で時代が止まっていそうな食堂街もあります。

  

中は広いですが、がらんとしています。築年数も考えると、電鉄魚津や中滑川の後を追うのも時間の問題かもしれません。

私が鉄道趣味の道に入った頃、国鉄の地方幹線の特急や急行が停まる主要駅って、こんな感じの所が多かったなぁ。その後、都会の駅さながらの駅ビルになったり、松江や出雲市の様に、最低限の施設に縮小されてしまったところも多いけど。

 

駅南側にはバスの営業所も併設されており、貴重な日野RU+富士重(この社名ももうすぐ過去の物になりますね…)や、旧塗装のエアロミディが休息中…

   

かなり規模の大きい保線基地も併設されていますが、何と言うか、地鉄の保線基地ってどこも雑然としていますね…まあ、こういう雰囲気は好きですが。ジャンクボックスの様なこういう場所を、隅っこの方に怪しいものが転がっていないかなー、と観察するのって楽しいよね。

 

除雪モーターカーやバラストホキも常駐。デキ12021に牽かれるホキは、稲荷町で入替中のは見たことがあるのですが、一度本線を走るところが見たいですね。(以前チャーター運転があると聞いた時、主催者に照会してみたのですが、日程の都合が付かず行けませんでした…)

模型のセクションの片隅に、こんな錆びた平トロを転がしておくと、ライブ感が出て良さそうですね。

  

ホームは2面3線、左から3→1→2と何故か順番になっていないのが特徴です。2番線の対面(4番線?)も以前は使っていたとは思うのですが、使用停止になって久しい様で、風防の塩ビ波板で塞がれています。こういう半透明の塩ビ波板、雪国の鉄道シーンには欠かせない?と思うのですが、模型ではどうやって表現したら良いのかな?

地鉄の駅ではお約束の「日本海みそ」の看板、何故か地面に落ちていました。看板か、それとも広告枠を更新するのかな? 因みにこの会社、本社と工場は上市の駅前にあります。CMは関東でも流れているので、CMソングは聞いた方も多いかと思います。

スイッチバックなので、アルペン特急を含め全列車が停まるし、折り返し列車も多いので、電車の観察には打って付けです。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-04 寺田駅

2016-05-14 21:18:10 | 撮り鉄日記

 地鉄らしさのエッセンスが凝縮した駅です。二方向に分かれそれぞれカーブしたホームに、その真ん中に一際目を引く待合室兼運転指令所?の大きな建屋に、駅舎は典型的な富山電鉄型駅舎、地鉄を訪れたなら、まず見ておけ!と言うお約束の駅だと思います。

    

この駅に降りたらまず視界に飛び込んでくるのは、この真ん中の待合室のある建屋。一瞬、これが駅舎かと間違えそうですが、現在は使われていない様です。ホームの上屋も地鉄らしい形態のが、立山線上り側以外の3面にある豪華さ。

  

豪華なホーム周りとは対照的に、控えめに存在する駅舎。変な改造が施されておらず、実に渋いのですが…

以前は駅前広場も未舗装だったし、周囲ももっと雑然としていた気がするのですが、何時の間にか妙にすっきりしてしまいました。この駅舎の運命が案じられます。

  

駅員常駐駅だし、主要駅だけあって、そこそこ利用者数もあるので、モータリゼーションで利用者が激減して生気が失われていく前の、佳き時代の田舎の駅と言った感じです。

ここは本線と立山線のジャンクションなので、ピーク時には数分間隔で電車が行き交う、都会の電車さながらのシーンが見られます。電車を観察するにも良い場所です。

天気が良ければ、ホームから立山連峰が良く見えます。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            


地鉄味わい駅舎紀行 UN-03 越中三郷駅

2016-05-14 20:46:26 | 撮り鉄日記

 右書きの「富山電鐵」駅名板が有名な駅です。

 

富山電鉄らしいフォルムの駅舎ですが、サイディング貼りと3台も並ぶ自販機が残念です。一見シンメトリーですが、屋根が中央部で段違いになっているのが変わっていますね。

これが有名な「鐵電山富 驛郷三」の駅名板。

正面からの眺めは冴えないですが、線路側からの眺めは昔のままで素敵です。

 

中も、ペンキ塗り潰しだけど、昔の田舎の駅…ですねぇ。

 

富山電鉄系の駅にはこれが無いとね。ホームのスロープから踏切前までカバーした木造上屋、なかなかここまで気遣いの利いた上屋はありません。


地鉄味わい駅舎紀行 UN-02 東新庄駅

2016-05-13 21:23:30 | 撮り鉄日記

 最近1/150スケールのペーパーキットも製品化された、特異な風貌で知られた駅舎です。

 

合併前の各社それぞれの個性がある駅舎も良いですが、富山地方鉄道成立後の駅舎は、余程デザインにこだわりがある方がいたようで、各駅様々な趣向を凝らした駅舎が誕生しています。その中でもひと際前衛的?なのがこれではないでしょうか?

当時の駅舎のいくつかにあったローマ字切り抜き文字の駅名標記も、当時の時代世相を感じさせます。

所謂看板建築の一種で、裏に廻ると案外普通です。線路に対し斜めに配置されているのが面白いです。

 

上屋も風防付き片流れ屋根の地鉄標準タイプですが、時代的には少し新しい様で、古レール組の物です。

  

天井が高く開放的な室内。荷物取扱窓口と営業時間の案内が残っていますが、何時まで使われていたのでしょうか?

この手の山荘風デザインの便所、いくつかの駅で目にしますが、新しい物なのかな?

煤けた古の郊外電車の駅に滑り込む銀色電車。東急池上線じゃありません。