雪うさぎのJunk Yard

へタレ地方私鉄モデラーの独り言と撮り鉄日記

地鉄味わい駅舎紀行 UN-01 稲荷町駅

2016-05-13 00:20:25 | 撮り鉄日記

 本線なのにUNとは如何なものか? まあそのうちに「黒部宇奈月ライン」とか愛称が付けられそうな気もしますし、「小田急小田原線」なのに、駅ナンバリングは「OH-**」(小田急箱根線?そんな呼称はどこにも使っていないだろ?)なんて例もあるし。で、本線の最初は地鉄の運行上の要である稲荷町駅から行きます。

 

地鉄にとって重要な駅なのに、かなり凄い状態のまま放置されてきた?駅でもありますが、それじゃいかん、と言う事になったからなのでしょうか、駅舎だけでも綺麗にしようか、でも立派なのを新築するおカネはどこにも無いし、プレハブじゃ情けないし、で、結果こうなりました。モノを大事にする精神は大いに結構ですが、この橙色の瓦はうーん…。

立派な電照看板が付いたけど、車寄せの庇の下の旧来の小さな駅名板はそのまま残されています。外板を全面的にサイディング貼りに改修しているから、多分一旦外した物をわざわざ付け直しているんですよね…。電鉄魚津新駅舎に旧駅舎の木製ベンチが流用されたり、単にケチと言うより、何か狙ってやっているんじゃないかと思いたくなります。

 

利用者にしてみれば、新築だろうとリフォームだろうと、使いやすく快適であれば何の問題も無いでしょうが。

でも駅舎以外は相変わらずの様で、如何にも年代物の本線ホーム上屋も、

田舎の小さな無人駅ならともかく、この規模の駅で木製ホームが見られるのって、もう他には無いんじゃないのかな?

    

昼でも薄暗い地下通路も、やっぱりそのまま、夜間に利用するのはちょっと怖いかも? でも昭和40年代位までは、大都市近郊の郊外電車(死語ですが)でも良く見られたような情景じゃないでしょうか? 流石に今は南海汐見橋線や今宮戎とかあたり、後は鶴見線くらいしかこんな薄暗さを体験できる所は無いでしょうが。昔の近郊私鉄情景に興味のある方は、全体的に綺麗になる前に観察しておくことをお勧めします。


地鉄味わい駅舎紀行 TY-07 榎町駅

2016-05-12 00:16:27 | 撮り鉄日記

 先述した通り、田添駅の待合室は直前にプレハブに置き換わってしまい、五百石も折角綺麗にしてもらったのに、僅か数年で取り壊され複合ビルになってしまったので、ここでとりあえず立山線はお終いです。

  

サイディング貼りに更新されており、一見古いのか新しいのか良く分からない…のですが、良く見るとやっぱり古い様です。原型は富山電鉄標準型じゃ無さそうで、更新前の稲荷町の様なシンプルな形態の木造駅舎だったのかな? 更に外観更新からも相当の時代を経てかなりくたびれた感じになっており、更新後の形態としても昭和の香りを漂わせています。向かって右側の屋根が低い部分、少し造りが違うようなので、左側と建築年代に違いがあるのかな? あと、ここも良く見ると屋根が半分だけ近年修繕されています。

 

ホームの上屋も片流れが多い旧富山電鉄にあって、何故かここは三角屋根です。駅前の大樹がひと際目立ちます。

 

中は近年改修されたと思わしき待合室部分と、昔のままの出札口跡回りとのギャップが激しいです。


地鉄味わい駅舎紀行 TY-06 下段駅

2016-05-10 21:34:32 | Weblog

 下段から釜ヶ淵にかけては立山連峰をバックに、常願寺川の扇状地の緩やかな勾配を上って行く好撮影地で、立山線で一番通った撮影地かも知れません。下段の駅舎も派手さはありませんが、これこそローカル私鉄の駅と言うべき風情のある情景が展開されています。

  

旧富山電鉄で出入り口が妻面側にある木造駅舎は他に早月加積がありますが、何れも出入り口が側面側にある西魚津や釜ヶ淵、寺田とかの様な個性は無く、どちらかと言うと癖のないデザインです。相変わらず永年の風雪に耐え、静かに朽ち、自然に還ろうとしている姿が…良く見ると、以前は極限まで傷んでいた屋根が直っています! 全体の枯れた風情は変わらず、最低限の維持措置は取られている…個人的には理想的ですが、利用する側からすると、いい加減新しく綺麗にしてほしいと言うのが本音かも知れません。まあ駅舎の機能で最も大切なのは雨風を凌げることでしょうから、雨漏りを放置するよりはサービス上は好ましいことでしょうが。屋根を補修するコストも馬鹿にならないでしょうし、取り壊してプレハブ待合室を置けば良さそうな気もしない訳ではありませんが、地鉄としては直して使えるものは直す方針なのかな? 今後他の部分も補修を進めるのか、他の木造駅にも波及するのか、興味深いところです。

 

中は以前と余り変わっていない様です。柱や梁は雪国仕様らしくしっかりしたものです。

ホーム上屋は富山電鉄標準の片流れ屋根、石積みのホーム擁壁と相まって、素晴らしいローカル線の情景を演出しています。

こんなセクションを模型化してみたいですね。京阪特急や14720形もも良いけど、やっぱりここは朱とクリームのツートンに塗られたモハ7540形やモハ10050形とかの重厚な戦前型がベストマッチかな? 一番場違いなのはやっぱり東急? いや681系サンダーバードもなかなかミスマッチかも…


地鉄味わい駅舎紀行 TY-05 釜ヶ淵駅

2016-05-09 22:53:20 | 撮り鉄日記

 岩峅寺からは旧富山電鉄の区間(正確には五百石ー岩峅寺は旧立山鉄道を併合)です。かつては寺田―岩峅寺間は五百石線と呼ばれ、旧県営鉄道線、現在の上滝線の方が立山線本線でした。と言う事で、駅舎も富山電鉄標準型になります。

  

元の部材の風合いを生かしつつも綺麗にリフォームされており、赤い屋根瓦も可愛い感じです。車寄せの支柱の装飾は富山電鉄型駅舎の特徴ですが、窓がどうも正面のが埋められてしまった様で少ないので少し重苦しいかな?

 

内部は白ペイント塗り潰し。窓が少ないので木地を生かした仕上げじゃ暗い雰囲気になってしまいそうなので、仕方ないのかな。大事にされていることは良いことですが。

 

対向式2面2線だったのが棒線化されていますが、廃ホームにも花が飾られており、地域で愛される駅と言った雰囲気が微笑ましいです。


地鉄味わい駅舎紀行 TY-04 横江駅

2016-05-08 23:15:32 | 撮り鉄日記

 旧県営鉄道の駅の中ではちょっと異質なデザインの駅舎です。

  

有峰口や千垣と建築年代は大差無いと思うのですが、重厚でやや古風なその2つと比べると、随分軽快でモダンな感じになりました。どちらかと言うと、昭和20~30年代にモルタル造の建築で流行した系統のデザイン(地鉄で例えるなら、本線の東新庄等)だと思いますが、純然たる木造では珍しい気がします。

駅舎の改築や改装と共に数を減らしつつある地鉄標準様式の駅名標、独特のフォントが味わい深いです。

 

大きな窓から差し込む緑の光が素敵で、今回初めて降りましたが、お気に入りの駅の一つになりました。

 

折角の素敵な駅ではありますが、県道がすぐ傍らを通っているのに、余りに自然に溶け込み過ぎて、初めての人なら気付かずにスルーしそうです。そのせいか、地域の中でも忘れ去られた様になっているのは残念です。小さな集落の中で共有するスペースとして、無人駅だけど人の営みを感じさせる有峰口とは温度差を感じます。今回30以上の駅を巡ってみて感じましたが、鉄道に対する地域の熱意と言うか、意識にはその地域毎に結構温度差がある、そしてそれは鉄道と地域の接点である駅に表れるな、と。潤沢なキャッシュがあり、どの駅も満遍なく整備できる大手ならともかく、地鉄の様な小さな会社だとそれが顕著です。

  

ホームは島式1面、交換設備は撤去済み。ホーム待合室は極普通、ですが、変な色に塗られていないし、ローカルな情景にぴったりで絵になります。


地鉄味わい駅舎紀行 TY-03 千垣駅

2016-05-08 12:58:57 | 撮り鉄日記

 有峰口駅から常願寺川のアーチ橋を挟んですぐの駅で、歩いたとしても15分位の場所なので、日中1時間1本の電車を待つより、歩いた方が手っ取り早いです。駅舎の意匠としては、有峰口や月岡と共通する部分も多いですが、ちょっとずつ変化を持たせてあるのも面白いです。

  

県道6号線と谷間に挟まれた、かなり狭い場所に立地する駅舎です。昔はこれほど県道が広くなかったでしょうから、もう少し敷地に余裕があったのかも知れません。

こんな狭い駅ですが、昔は交換可能駅でした。旧県営鉄道には少数派の対向式ホームなのも、スペース的な問題なのでしょう。

  

道路側はトタンで覆われていますし、有峰口より手が加えられている部分が多い感じです。交通量の多い県道の傍らにあるので、その分傷みが激しいのでしょうか?

室内も有峰口に比べると、かなり手が加えられています。

 

撤去されていることの多い、倉庫や便所等の小物類も一通り残っていますが、便所は駅前に斬新過ぎる?公衆便所が設置されたため、封鎖されています。

狭い駅ですが、幹線道路沿いだけあって、バスの転回位は出来る広場はあります。やっぱりシンボルツリーが駅前にあると締まりますね。

 


地鉄味わい駅舎紀行 TY-02 有峰口駅

2016-05-08 11:46:50 | 撮り鉄日記

 魅力的な駅舎を多数擁する地鉄の中でも、個人的には一番好きな駅です。

永年の厳しい自然環境に耐えた、古びたモルタルと木材の風合いが、タイムスリップしたような錯覚を感じさせてくれます。良く紹介されている通り、「有峰口駅」の駅名板の接着が剥離して脱落してしまい、その下にあった旧名「小見驛」の「小」と「驛」の標記が露わになっています。「見」の字が欠けているのは、上貼りされた駅名板の脱落と共に落ちてしまった様です。で、落ちた本来の駅名板の行方はと言うと、入り口の軒下に改めて掲げられています。

地鉄の木造駅舎の多くの例に漏れず、あちこちに部分補修が繰り返され、満身創痍の状態です。無人駅ですが、冬季は除雪要員が常駐するので、辛うじて持っている状態でしょう。いつまでも残っていて欲しいですが、勝山(えちぜん鉄道)や北府(福井鉄道)みたいに徹底的に補修されて綺麗になった姿は微妙…かも知れません。まあ我儘ですが。

冬季は人が常駐していますし、それ以外の時期でも地元の住人たちがこまめに巡回して清掃しているようなので、古びてはいるけど、荒れた感じはそれほどしません。

天井板が1枚外されていましたが、雨漏りの補修でしょうか? ちょっと心配になります。瓦くらいはそろそろ葺き替えた方が良さそうですが、もし葺き替えるとしても、稲荷町みたいに橙色は止めて欲しいです(笑)。

現状島式1面2線の交換可能駅ですが、もう1面廃ホームが残っています。かつては夏山登山等の多客時にここで折り返す列車も設定されていました。

  

ホーム上の待合室も大きめで、立山方に短い上屋も付いたちょっと面白い構造です。豪雪地帯故、壁面の補強のトラスもデザイン上のアクセントになっています。富山方の少し幅が広がった部分は、後天的に継ぎ足したのかも知れません。

駅は集落の中の狭い路地の奥にあります。夏山登山シーズンには臨時でバスが駅前から出るようですが、大型車が入って転回するには結構厳しそうなスペースしかありません。どこかでこの駅前に日野レインボーRJ(9m中型車)が入っている写真を見た記憶がありますが、これでも結構ギリギリじゃないかと思いますが。

 

因みに夏山登山バスに使われるのはこんなのだそうで。今となっては希少な富士重5Bボディ、しかも日野シャーシとの組み合わせは珍品ですが、これRU638なので12m級、こいつがあの狭い路地に入って、猫の額の駅前広場で転回するんだ…


地鉄味わい駅舎紀行 TY-01 本宮駅

2016-05-07 20:56:57 | 撮り鉄日記

 続いては立山から一つ目、本宮駅です。

  

やや近代的なデザインの木造駅舎です。かつては登山やスキーの客で賑わったのでしょう。現状は観光ルートから完全に外れてしまい、恐らく現在の需要に対しては過剰な程大きめです。くすんだ銀色が余計寂れた雰囲気を醸し出しています。

2階建て構造で、1階は駐車スペース、駅としての機能は2階に集約しています。

 

待合室も広く、出札口の他、立ち喰いスタンドの残骸もあります。いつ頃まで営業していたのかな…

 

ここも交換設備が撤去され、ホームの残骸が面影を留めています。

 

立地はかなり秘境駅的なのに、駅周囲には小さな集落が形成され、生活感の漂う空間です。ホーム奥の住宅は、見る限り、線路を横断するか、手前の建設会社事業所の敷地を横切らなければ辿り着けないような気がしますが…

山並みが迫る小さな集落と絡め、上手くアレンジして模型化したら、なかなか魅力的かも知れませんね。


地鉄味わい駅舎紀行 TY-00(番外編) 旧粟巣野駅

2016-05-06 22:11:44 | 撮り鉄日記

 続いては立山線に行きます。スタートはかつての立山線終点、旧粟巣野駅跡、勿論駅舎も跡形も無いので、番外編と言う事で。

車窓から見た感じ、えらく山深い場所に見えましたが、立山駅から線路に並行する道路を進み、有名な撮影地「真川橋梁」を過ぎて少し上ったあたりで左向きに分岐する林道を下って行けば、容易にアクセスできます。廃止は昭和56年なので、高々35年前なのですが、周囲はかつて立山登山の基点として賑わったことが嘘の様です。位置関係は逆ですが、その成り行きは松本電鉄の島々と新島々の関係に近いかな?

   

駅跡地にある白い建物は、近隣の旅館等に供給される温泉の泉源の様です。これがあるために、ここまでの山道が整備され、ここまで容易に辿り着ける訳ですね。ホームは3面4線とターミナル駅らしく立派で、国鉄線からの多客臨も発着するため有効長も結構長いです。

 

20年位前に初めて車窓から見た時には、旧駅構内の架線柱は本線と共用していたため、もっと沢山あったように記憶していますが、近年本線の架線柱が建て替えられ、旧駅構内の古い鉄柱は本線と共用していない2本が忘れられたように残っているだけでした。

兵どもは夢の跡、かつてのターミナル駅も電車は何も無かったの如く走り去って行きます。


地鉄味わい駅舎紀行 FK-08 岩峅寺駅

2016-05-06 21:33:50 | 撮り鉄日記

 さて上滝線もここで終点、この駅は帝冠様式の古風な駅舎が余りにも有名ですが、こちらは散々語りつくされているので、上滝線ホーム周りにある物を中心に紹介します。立山線側の1,2番線は富山電鉄標準の上屋のある対向式ホームですが、上滝線側の3,4番線は島式と、建設した事業体の違いがホーム配置の違いに出ているのが面白いですね。あとそれに加えて貨物ホーム1面があります。

3番メインなので上屋の向きはそちら向きですが、4番線の利用者にも配慮して、風防のついたてが所々開口しているのが面白いところです。4番線はこの先で立山線に合流していますが、今は上滝線経由立山方面の定期列車の設定は無く、連絡線はほとんど使われていない様です。

  

ホームの傍らには、保線資材倉庫に転用された元変電所の建屋が。昔の変電所の建屋って、直接乗客が利用する訳じゃないのに、無駄に?立派でデザインにも凝ったものが多いのは何故でしょうか? 保線小屋の周りにはダブルキャブのトラックがお約束かな?

  

立山線への通路にも上屋があるのは、豪雪地帯ならではの配慮でしょうか。3番線の車止めの先にも線路の痕跡があります。こちらもかつては立山線に繋がり、上滝線側だけで列車交換が出来たのだろうと思います。

1,2番線の上屋の処理等は他の旧富山電鉄の駅に共通するものです。さて、次は立山線に行きますか。