酒田の「山居倉庫」はある意味、建築遺産の理想的な保存活用がなされている例ではありますが、近くにもう一つ、酒田の歴史を物語る食糧倉庫が遺されています。
酒田港駅の近く、かつては駅から側線が伸びていた痕跡もあります。昭和初期建築の当時としては近代的設備を誇る食糧倉庫であり、戦時中の迷彩塗装の名残が窺えるなど、昭和の酒田ミナトの歴史を物語る貴重な遺産でもあると思うのですが、閉鎖されて久しく、積極的な活用がなされていないのは残念です。東北東ソー内に運用終了後も残る「タキ42642」と共に、酒田の昭和を代表する近代化遺産として、早期の保存活用を望みたいところですが、昭和期のモノに対する認識がまだまだ薄い現状は何とも哀しい現実です。
これらの貴重な遺産も、現実に有効活用となると、「空間の有効活用」=古い建築は解体撤去して住宅地、マンション、ショッピングモールに再開発、「金属資源リサイクル」=不要な旧い鉄道車輛はスクラップ、になってしまうのが落ちなんでしょうが…
(P:2008年3月22日 酒田港駅付近)