プラ完成品も出ていますが(一応入手済みですが)、敢えてこの約30年物のバラキットを引っ張り出してきました。若干残念な部分も無い訳ではありませんが、多重エッチング採用のボディに、厚板プレスのギヤフレーム、ダイキャスト輪芯のスポーク動輪、シャープなモールドのダイキャスト台車、灯具類はロスト多用、と贅沢な構成のキットが、当時9800円で買えたのですね。発売当時はバブル真っ盛りの頃だったかな、世間はデフレとか言いながら、鉄道模型の値段は30年間一貫してインフレ傾向なのが良く分かりますね。
当時中坊だった私がTMSの新製品紹介でこれの完成見本写真を見たとき、本当にこれがN?と疑いたくなる完成度に衝撃を受けたものです。しかし今となっては安いと言える価格ですが、当時のKATOのF級電機が2輌買える値段では小遣いでは手が届かず、指を咥えて見ているだけでした。で、残念な部分その1、側窓上の水切りと、乗務員室側窓の庇が省略されています。戦後の装備改装で後天的に追加された後者はともかく、新製時から付いている前者が省略されているのには疑問を感じます。後付けすると意外に面倒な部分なので、エッチング表現でも良いから表現して欲しかったところです。ここは水切りを0.1x0.3真鍮帯板貼り付けで、庇は0.2x0.5帯板を曲げてイモ付けしています。
正面の乗務員扉も、キットに入っているものは窓の幅が広いタイプで、晩年の姿を基準にすると、2号機のみ該当の形態なので、それ以外の号機にするには、窓と、その下の窪みの幅を帯板で詰めておきます。