「NHKスペシャル」にて世界初となった「ダイオウイカの動画」で、多くの人が深海に興味を持つようになったと思います。そして、その「ダイオウイカの動画」が撮影された際に「国立科学博物館」もカンでおり、7月6日より特別展「深海-挑戦の歩みと脅威の生き物たち-」が、上野の「かはく」にて開催されています。
それで、当然「海」にも興味がある私。早速行ってきました、「深海」展へ。
会場は「フラッシュ」を使わなければ「撮影 可」で、「TV」が絡んでいるのでダメかな?と思っていましたが、これは嬉しいですよ。会場はさすがに「深海」をテーマとしているので、基本的に「暗く」、照明や内装も「青」を基調としており、雰囲気は良いですね。「プロローグ」より始まり、「深海の世界」では多くの人がイメージしている「海」はほんの表層だけ。「10m」ほど潜れば「光の届く割合」は「16%」。「100m」では「1%」になり、「海」はそのほとんどが「漆黒の世界」となっているのです。しかも「10m毎」に「圧力」は高まり「水深100m」では「1平方cm」に「10.3kg」もの圧力がかかり、温度も水深2,000m以下では「2℃」前後と水は冷たいと、本当に「極限」な世界なのです。ちなみに「深海」とは厳密な定義は無いですが、一般的には「水深200m以上」を指すのです。
次は「深海に挑む」で、「世界で7隻しかない」といわれている「水深4,000m以上潜れる有人探査船」である「しんかい6500」の「実物大模型」が展示され、その「白色」の「ボディ」を活かし、プロジェクターで内部構造を投射する。といった展示方法がされています。それ以外にも「かいこう」や「ゆめいるか」などの無人探査船も展示されていますよ。深海を探査するには「宇宙船並み」の「生命維持装置」を搭載しなければならないのです。
探査船を知って、次はその「深海」にいる生物たちを紹介する「深海生物図鑑」。過酷な環境から「生物が少ない」と思われている深海ですが、実は種類によっては浅い海よりも種類が多いのもあるのです。特に「甲殻類」や「貝」などが多く、「魚類」はとても奇妙な形になってしまっています、さすがに独自の生態系を持ち、過酷な環境であるからでしょう。ただ、標本のほとんどが「ホルマリン漬け」なので「色素」が抜けてしまったりいているのが残念ですね。
「深海に生きる」では「太陽エネルギー」とは別の「生態系」である「チムニー」を中心とした生態系や、表層ので生産された有機物がどのようにして深海へ運ばれるのか?を知る事ができます。マリンスノーの正体や深海の「分解者」も登場します。
そして、「深海への適応」では、今回メーンとなっている「ダイオウイカ」が展示されています。このダイオウイカは「6m」と「最大級」である「18m」には及びませんがそれでも大きいですね。「ホルマリン標本」と共に「模型」もあるので、その大きさは良くわかります。それと対な形になって「マッコウクジラ」の「頭部標本」もありますよ。こちらは全長18mくらいのでしょうかね?マッコウクジラが深海で獲物を探す秘密がわかるようになっています。また漆黒であり、低温、高圧と極限状態で独自の進化で適応し、「巨大化」や「発光」「透明化」などの理由に「光合成」をしなくても「科学物質を有機物へ変える」事のできる「バクテリア」を体内で飼う事により「共生」している生物なども紹介されています。
最後は「深海シアター」でこれは「NHKスペシャル」とは違った観点の「ダイオウイカ」をみる事ができます。個人的には「エンターテイメント性」が強いので、あまり評価は高くないですが、一般の方には楽しめるのでは無いでしょうか?
第一会場が終わり第二会場へ、その途中の通路では「深海生物」の「写真集」が壁面に貼られており、楽しめます。第二会場では「深海の開発と未来」でして現在話題となっている「メタンハイドレート」や「マンガンジュノール」などの「鉱物資源」に「意外と身近な深海魚 深海キッチン」では実はこの食品はこんな深海魚?と思わぬところで私たちの食卓に上がっている魚や甲殻類を知る事ができます。「鱈」も生息深度が「300m」ほどなので「深海魚」の一種になりますが、それ以外はほとんど名前も姿も見たこと無いような生物が多いのには驚きです。
そして「ショップ」です。まぁここは「しんかい6500」と「ダイオウイカ」グッズが多いこと。
ともあれ、「ダイオウイカ」を全面に押し出しているのかな?と思ったのですが、キチンと「深海」全体がテーマとなっているのは良いですね。それに深海探査と深海生物が中心となり「環境問題」を強引に結び付けていない部分も評価できます。ただ、標本数も多いですが、「深海」はまだ解っていない事が多すぎるのでどうしても標本に関する説明は少なくなってしまいますね。宇宙はある程度の事が解ってきていますが、それ以上に海は知られてない事が多いんですよ。地表の70.8%を占め、面積は約3億6106万平方kmで、陸地の面積が約1億4889万平方kmなので、2.42倍の広さをもち。平均的な深さは3729m。海水の総量は約13億4993万立方キロメートル。一番深いところは「10,920m」もある世界は地球の中の宇宙と言えるかもしれません。
それでは、本日の登場人物はこの方。「ベルギー国立博物館 天体室」の「学芸員」で「ブリュッセル・グリフォン」の「Chefille」の「コレット・アバック」さんです。「宇宙」よりも謎が多いといわれている「深海」。そんな深海を知るために、「コレット」さんも見学です。ちなみに「コレット」さんの服装は「しんかい6500」の乗組員の制服で、火災を懸念して「ノーメックスアラミド」の「レーシングスーツ」を改造したものが使われています。背景は「しんかい6500実物大模型」です。