さて、もうどう考えても「ハズした」感が強い「がっかり彗星」のひとつに確定している「パンスターズ彗星」ですが、とりあえず見ておこうかなと思いますので、観測に適した場所のロケハンに行ってきました。
「パンスターズ彗星」は3月10日に近日点を通過するのでその近くで見てみようと思ったわけです。しかしながら、近日点を通過するということは「太陽に接近している」ともいえる状態ですから、地上から見ても太陽の近くにいる訳ですね、そうなると「太陽が沈んだ後」の薄暗くなるときにはもう西の空低くに位置するのです。なので、観測するとなると「西側の空が低くまで見える場所」である事が前提になってきます。「西側、低い場所」まで見える場所と言えば「水平線」と「高度0°」が見える「海」しかありません。シーイングは海と陸の寒暖差などの影響でそんなに良くは無いですが、望遠鏡で惑星観測をするのでは無いですから、大きな問題は無いですからね。
そんなワケで、情報を仕入れ、候補となったのは「神奈川県横須賀市秋谷海岸 県立立石駐車場」です。ここは、相模湾から富士山を望むことができ「秋谷の立石」と「神奈川景勝50選」に選ばれた景観も良い場所なのです。ちなみに「富士山」が見えるということは「西側」が見えると同じ事なのです。
で、実際に行ってみました。確かに何回も通ったことのある道でしたが、こんな所に「駐車場が」と思えるような場所に駐車場があるんですよ。なんだか解りませんが大きな施設的な建物のウラ。しかも大きな表示がなく、簡単な案内標識があるだけ。駐車場へと至る道は細く、しかも門があるのでますますその「施設」の駐車場だと思ってしまうのです。私も恐る恐る進んでいきましたからね。入り口は狭いですが、駐車場自体は広く何でも60台は停められ、しかも「無料」ですからね。でもさすがに「神奈川景勝50選」に選ばれたトコだけはあり、平日午前中でも駐車場はほぼ満車状態。どうやら観光以外にも「釣り人」、通勤時の駐車場代わりに使っている人もいるようですね。
確かに西側は開けており、海岸まで下りることも可能ですが、近くの「秋谷公園」や「立石」の方は少々西側が見づらい感じですね。でも「富士山」が見えるので大体方位は掴めます。今日の天気は春霞が出ている状態で、低い場所はモヤって見づらかったですが薄っすら富士山を見ることが出来ました。
「3月10日」、つまり「近日点」を通過した後の「パンスターズ彗星」と「太陽」の距離は「0.3UA」つまり「水星」と同じくらいの位置にいるわけでして、その高度は「日の入り後30分」で「約5°」程度。実際に確かめてみる方法としては「腕を伸ばして親指を立てた」くらいの高さです。なので、観測予定地を見つけたらまず「西側」に水平線と同じくらいの高さになるように腕を前に突き出し「親指を立て」て空が見えていればほぼ大丈夫という事です。
現時点での「パンスターズ彗星」の近日点通過した「3月10日 日の入り後30分」での位置は「真西」から「15°」程度「南」より。高度は「約5°」。肝心の明るさですが、現時点での予想では「3等星前後」。コレは近日点を通過した後や太陽に接近する過程で「バースト」や「コマの分裂」が起きたりし明るくなる可能性もあるからで、実際にどうなるかは当日まで解りません。でも現時点の予想では「3等級前後」が有力です。ちなみに「3等級」と言うと「北斗七星」の「ひしゃくの柄の付け根」にある星と同じくらい。「北斗七星」がすべてはっきり見える場所ならば「見える」と思っても良いでしょう。ただし、彗星はボンヤリと光っているので、実際よりも暗く見える可能性があり、その場合では「アンドロメダ銀河」と同じくらいの明るさと考えても良いでしょう。しかも「高度が低い」ので「大気減光」や雲の影響を受けやすいので、正直コレは見るにずいぶんキビシ事になります。「パンスターズ彗星」はまた近日点が近くなったら「こなここ」ブログでお話したいなと思っています。
それでは、本日の登場人物はこの方、「天体」や「プラネタリウム」にある事をきっかけに興味を持ち始めた「森谷 ちさと」さんです。「ちさと」さんも「パンスターズ彗星」を見るために観測場所を探しているようでして、候補の一つとしてあがったのは「立石駐車場」。ちなみに背景がその「立石駐車場」から海岸に下り、実際にパンスターズ彗星が近日点で見える方位に私の手を向け、親指を立てた状態の写真です。大体私の親指の先端辺りに見える事になるのでしょうか?それにしても、親指を立てて、うろうろしている私はさぞ不審に見えたでしょうね…。