閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「クリスマスのかね」

2009-11-06 09:57:08 | お知らせ(新刊)

今年3冊目の新刊です。
『クリスマスのかね』(教育画劇)
アメリカのレイモンド・M・オールデンという人の書いた
古い(130年くらい前?)童話を元にした絵本。

絵は山田花菜さん。
ちょっとクラシカルで、あったかくて。
貧しい村の兄弟が、クリスマスイブに、ふたりだけで
大きな町の教会に出かける…という話なんですけど、
しっかりしてけなげなお兄ちゃんと、無邪気そのものの弟、
この子たちの表情がとっても魅力的です。

原作は短篇ですが、そのまま日本語に移し変えただけでは、
絵本の文章としては長すぎます。
見開きの片ページが小さい字で埋まってしまうくらい。
小さい子にも読めるような文字で、表現で、
全体に短く書き直す必要がありました。

この書き直しのことを、リライト(再話)といいまして、
いわゆる「名作童話」では昔から広くおこなわれています。
わたしは、原則としてリライトはお引き受けしない主義
(理由は単純、自分の作品がそうされたら嬉しくないから…笑)
ですが、花菜さんの絵を目にしたら、
ぜひやりたい!と思ってしまいました。

全訳して、場面割りしたものを元に絵を描いていただきながら、
わたしは絵本としての文章を練る、という同時進行方式で、
きわめて厳しいスケジュールだったにもかかわらず、
しっとりした余韻のある絵本ができあがりました。

最後の見開き画面の絵を見て、ページをめくると、
もうひとつ、文章なしで、小さい絵があります。
この部分の記述は、原作には一切ありません。
でも、こうだったらいいな。
うん、きっと、こうだったに違いない。
そう思って、描いていただきました。

絵本だからこそ、できること、です。

クリスマスのかね
オールデン・原作
竹下文子・文
山田 花菜・絵
教育画劇

 

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