閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

電気野菜

2013-12-24 14:11:12 | 日々


電器店に行ったら、レジの横で野菜が育っていた。
前回に見たときはまだちっちゃい葉が2枚くらいで、
何になるつもりかよくわからなかったが、
もうサニーレタスだとはっきりわかる。
10株ほど2列に並び、そろそろ食べてもいいくらいのサイズだ。

家庭用の水耕栽培器なのだそうだ。
熱帯魚を飼う水槽くらいの大きさのケースで、
内部は明るく照らされている。
水と液体肥料を入れ、スポンジに種をまき、
セットして、あとはボタンを押すだけ。
LEDライトとファンとエアポンプが備わっており、
日照も、面倒な水やりも不要である、と。

何年か前にSF映画で見たことがある。
宇宙船内の一区画に、食糧を自給するための
水耕栽培装置がずらっと並んでいる光景。
(「サンシャイン2057」だったかな?
ほとんどそこしか覚えてませんが・・笑)
SFの話だと思っていたら、その後まもなく実用化されて、
今やレストランなどでも使われるようになっているらしい。
家庭向きの商品も出ていたとは知らなかった。

簡単。たしかに。
清潔。「土=汚い」という感覚であれば、それも、たしかに。
室内なら虫もつかないし、有害物質も飛んでこない。
採れたて新鮮。まあ、そうですね。
市販の葉物野菜も、すでに多くがこのようにして作られている。
目の前で収穫できるなら、それだけ新鮮には違いない。

はて?と首をかしげるのは、次の部分。
メーカーの宣伝文から引用します。

<1粒の種から、かわいい芽が生まれ、毎日少しずつ育っていく野菜。
そのイキイキとした様子を観察したり、
 新鮮な野菜を収穫・調理して食べるといった体験は、
 子どもたちにとって命の力強さや尊さを感じるだけでなく、
 思いやりや感謝といった「心」の成長を促すよいきっかけとなります>

間違ってはいないと思う。
植物の色や形はどれも美しい。
種をまき、育つのを観察し、収穫するのは本当に楽しい。
野菜嫌いの子も喜んで食べるかもしれない。
場所を選ばず、季節や天候に左右されにくく、失敗も少ない。
教材としても理想的だろう。

だけど、その水はどこからくるのか。
その電気は何からどうやって作られるのか。
液肥っていったい何なのか。
「スイッチ押すだけ」の装置は、そういうことは教えてくれない。

もちろん、誰もが畑や庭を持っているわけではない。
都会の高層マンションなどでは、ベランダ園芸さえ難しいだろう。
だから、せめてこれで・・という気持ちもわかる。
でも、ここは(幸いにして、まだ)宇宙空間ではないんですから。
「土と雨とお日さま」をすっぱりあきらめるのは、
ちょっと早すぎるのではないかしら。

種まいたけど芽が出ない。
芽は出たけど日当たりが悪くて育たない。
栄養が足りなくてひょろひょろしている。
水をやり忘れて枯れてしまった。
どうにか大きくなったのに虫に食われてしまった。
野菜は植物。虫や人は動物。みんな生き物。
多様な生き物のまわりに、多様な自然環境があって、
お天気ひとつだってけっして人の思い通りにはならないのだ。
じゃあどうしたらいいのかと、考える。
食べたい一心で、いっしょうけんめい考える。
学ぶということは、そういうことではないかと思う。

 

箱の中では水玉もできませんし、ね。(←結局そこですか?)

 

 

 

 

本日の「いいね!」


ドアを開けると・・ (動画)

どこでもドア? フランス国有鉄道の楽しいCM。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 猫のおみやげ | トップ | め・め・め »