◆大学院生さんからのご質問。
(…このお名前でいいのかな? やみ○○研究家さんじゃなく?)
>『スターズ』のメンバーにはモデルはいますか?
>またモデルとなった「街」はありますか?
それぞれ複数のモデルはいたかもしれないですが、
(おもに風貌や服装の描写の参考として)
具体的に誰ということは思い出せないので、
ほとんどは「作った」のではないかと。
ショーは『シナモン・トリー』のバジルの別バージョンですね。
こういうヒトは、ときどき勝手に出現するので、作る手間がいらない…(笑)
大学の4年間、東京の端から端まで地下鉄とJRで通学していたので、
東西線、丸の内線、銀座線あたりのイメージが強くあります。
当時の銀座線はとても古くって、駅に入る直前にガチャガチャと揺れて、
電流?か何かの切り替えのため一瞬車内灯が消えるんですよ。
丸ノ内線も、カーブで傾くのと音がうるさいのとで有名だったな。
いまは地下鉄もずいぶん静かで明るくなりました。
ある日、地下鉄に、お母さんと4歳くらいの男の子が乗ってきました。
座席につくと、男の子はすぐに靴を脱いで窓の外を見ようとしました。
「外なんか真っ暗で、なんにも見えないでしょ」
お母さんがたしなめると、男の子はふりむいてキッパリと答えました。
「『ちか』が見えるよ!」って。
そうか。何も見えないんじゃない。
地下鉄に乗ると、地下が見えるんだ。
見ようと思う人にだけは。
そのことが、当時のわたしにはものすごく貴重な発見に思え、
以来ずっと頭の片隅にしまってありました。
『スターズ』を書いたのは、それから20年くらいあとのこと。
1章の魔女の家は、かつて神戸市内に実在したもの。
2章冒頭の地下鉄の階段は、丸ノ内線の新宿御苑前駅。
階段をあがったところはたぶんJR総武線の本八幡駅。
スターズのビルはJR山手線の五反田駅前の雑居ビル。
でも実際にあったのは進学教室じゃなくて音楽教室!
…というふうに、いろいろつぎはぎで出来ています。
(ほら、ねー、聞かれると、聞かれてないことまでしゃべる人…)
スターズ | |
竹下文子/作 小林敏也/画 | |
パロル舎 1998年 |
ご質問リクエスト受付中→こちら