閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

スーパー羊飼い

2008-06-16 09:04:43 | 日々

1階が駐車場で、2階が売り場になっているスーパー。
いつも階段で上がり、帰りは荷物が重いので、
カートごとエレベーターで降りてくる。

ある日、エレベーターがなかなかやってこない。
ようやくドアが開いたら、中にはカートが30台ほど詰まっていた。
駐車場から回収されて戻ってきたカートである。
いつもは店員さんが一緒に乗ってきてガラガラと降ろすのだが、
この日は人手が足りないのか、誰も降ろす人がいない。

わたしの前に3人の奥さんが、それぞれ山盛りの荷物と共に
エレベーターを待っていたが、これでは乗ることができない。
「あ…」と言っているうちにドアが閉じた。
一番近くにいた人がボタンを押したので、閉じたドアが開く。
しかし中には依然としてカートが詰まったままである。

そりゃあそうでしょう。マジックの箱じゃないですからね。
一度閉じたくらいで消えやしませんよ。

3人の奥さんたちは、ただ呆然としている。
どうするべきか判断がつかないらしい。
ふたたびドアが閉まりそうだ。
わたしは入っていき、カートを列ごと押して外に出した。
すごく重いかと思ったらそうでもない。
押せばまとまっておとなしく動く。
なんとなく羊の群れを扱っているようだ。
「すみませーん!」
途中で店員さんがとんできた。
この作業は2人でやると早い。
あっというまにエレベーターは空っぽになった。


じつは一度やってみたかったのですね。
いっぱい重ねたカートをひとりで動かす、というのを。
駐車場で用済みになったカートが、きちんと置き場に戻されず、
あっちこっちに斜めになって放置されているのを目にすると、
あれとあれをまとめてあっちに重ねて…とつい考えてしまうくらい。
でも客がそれをやると、店員さんにはかえって迷惑だろうと思い、
これまで自粛していました。
いやあ、面白いなあ、これ。
パートの羊飼いみたいなカート回収専門のお仕事ってないかしらん。


ショッピングカートのすぐれた点は、
車輪がついていて、しかも、重ねられる、というところ。
すこし昔のカートは斜めや横への移動が困難で、
狭い売り場でうまく押すにはそれなりのコツが要ったが、
最近のは、よちよち歩きの子が押しても軽くなめらかに動く。
4つの車輪のそれぞれが、前後左右に自在に動く。
乗用車もこうだったらいいのに。

乗用車がすべてショッピングカート並みの性能になり、
駐車場では重ねておけて場所をとらず、
燃料は地球に有り余っているもの(二酸化炭素とか?)でまかなえ、
ぶつかってもお互い「あ、すみません」で済むようになるんだったら、
わたしはぜひ長生きしてそれに乗ってみたいと思うのですが。

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