閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

2011-10-10 08:28:36 | 日々

朝5時半頃か、外で猫がけんかしている。
うあーう、なあーう、と声を上げ、交互に威嚇し合っている。
珊瑚と、たぶんマドリだと思う。

猫のけんかは、にらみ合いの時間が長い。
放っておくと、双方の声がだんだん高まり、最後には、
うぎゃおぎゃおぎゃお!と、取っ組み合ってころげまわり、
噛む蹴るひっかくで怪我もするので、なるべく阻止したい。

眠いけれど起きて、窓をあけて「さんちゃんっ!」と呼ぶと、
ぴたりと声が止み、ころがるように走り去る音がする。
ヒトの援護を得て、がぜん優勢になったさんちゃんが、
逃げるマドリを調子にのって追いかけていったらしい。

マドリが猫穴から入ってきてゴハンを食べていっても、
さんちゃんはかまわず同じ部屋で寝ている。
これが、家から少し離れた場所で出会うと、
どういうわけか、必ずけんかになるのである。
テリトリーの境界はがんばって防衛するけれど、
境界線の内側にいる相手は仲間とみなすルールがあるのかな。

寝直す。
1時間ほどしたら、掛布団にずしりと重いのが乗ってきた。
さわるとしんなり柔らかいので、取り組みは不戦勝らしく。
一戦まじえて帰ってくると、全身ごわごわになっているし、
負けると人のそばには来ないで棚の上にあがってしまうのだ。
よしよし。きみはわかりやすい猫だね。


午後、上の畑の裏の、ぼさぼさの斜面で、
枯れ草の茎が妙な揺れ方をするのに、ふと気づいた。
じーっと見上げていたら、影の中からじんわりにじみ出すように、
黒っぽい動物のかたちがあらわれる。
「出た!」ではなくて「いたのか!」と驚く。
ほんとうに静かで、隠し絵のようなのだ。

バク・・かと一瞬思ったが、そんなことはない。
大きめのずんぐりした猪。
木の実を拾いに来ているのだろう。
冬支度に忙しいこの季節は、日中でもときどき見かける。
今年は山桜の実は異常に多かったのに、
どんぐりや栗は逆に少ない。
このあいだの台風で青い実がだいぶ落ちてしまったし。
のんびりお昼寝はしていられない。

しばらく見ていてから、黙ってドンと足を踏み鳴らすと、
重そうな身体をゆすって、どさどさと駆け上がっていった。
1頭は左へ、1頭は右へ。
あ。2頭いたのか。


萩も、尾花も揃って、十三夜。
やや雲が多めで、冴えわたるとはいかないが、
流れてくる雲のふちが月あかりに照らされ、
妖しく変化するのを眺める。
雲あっての月、月あっての雲もまた良し。

 

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