朝から夕方まで、たびたびここに来ては鳴いているオオルリ。
その名のように、オスはきれいな瑠璃色をしているはず…なのですが…
この子は、たいていいつもこちら側(というのは家のベランダ)を向いてとまり、なかなかその青い背中を見せてくれない。
あ、やっと横向いた! と思ったら…
えーと、背中、青い?
遠いし、逆光のせいもあると思うけど、後頭部にちらっと青っぽさがあるかなあという程度で、ほぼ褐色に見えません?
でも、鳴き声は、オオルリ。それは間違いないです。
とすると、この色は、なんだ?
調べると、「オオルリはメスも鳴く」と書かれたものがいくつかあった。そして、オオルリのメスは地味な褐色をしている。
ということは、この子はメス?
いや、しかし、「鳴く」と「さえずる」は違うと思う。もしかしたらメスもきれいな声を持っているのかもしれないが、いまは繁殖期の真っ最中。おかあさんは卵を産んだり温めたりと忙しいはず。これ見よがしに高い枝でひたすらさえずっているのは、やっぱりオス、ではないかしら。
さらに調べると、「オスが美しい色になるには2~3年かかる」という情報が出てきた。
なるほど。この子はまだ若いオスで、声は一人前だけれど、色はまだこれから、ということなのか。
もしかしたら、色が地味なので相手にしてもらえず、ひとり寂しく空に向かって鳴いているのかも。
鳥さんもいろいろ大変です。
ついでに。
オオルリのさえずりは複雑で、「ホーホケキョ」とか「チュンチュン」のように文字に表しにくいけれど、「ヒ~ルリホヨヨ」みたいなヨーデルのあとに、「ギリギリッ」とねじを巻くような音や、「カシャンカシャン」とばねが跳ねるような金属音が、ちょこっとおまけでつくことがある。
いつだったか地元の人に「こっちでオスが鳴くと、あっちでメスがギーギーと答える」と聞いたことがあるけれど、実際はそうではなく、見ていると全部ひとりで演じているのがわかる。
夕方、Mが近くで草刈りをしている。ブイーンというエンジン音と共に、回転歯が草にあたったときのシャンシャンという音が聞こえる。その「シャンシャン」と、オオルリのさえずりの「おまけ」にときどき出てくる音がそっくりだ、ということに気づいた。
このあたりのガビチョウが、あきらかにイカルのフレーズを自分のさえずりに織り込んでいるように、オオルリも、田舎ならこの時期にあちこちで聞こえる草刈り機の音を真似しているのではないか。
子どもの頃、うちでカナリアを飼っていた。台所で揚げ物や炒め物をすると、そのチャーチャーという音に反応し、競うように声を張り上げて鳴くので、面白かったのを覚えている。
人間にはわからなくても、鳥の耳には「仲間だ」あるいは「ライバルだ」と認識される波長だか周波数だかが、きっとあるに違いない。
(「オオルリ物真似説」は、閑猫の思いつきで、根拠はありませんので、信じないでね)
おまけ。
オオルリの「ステージ」でもある枯れ枝は、見晴らしがよいので、他の鳥もよく来てとまります。
「ピリピリ、ピリピリ」と鳴く尾の長いスマートなお方は、サンショウクイ。
コロコロとさえずるカワラヒワ。
おや、むこうを飛んでいくペアは誰かしら。
カラスにしてはスピードが遅いと思ったら、サギかな。種類までは判別できず。
(本日ボケボケ写真ばかりですみません。うーん、やっぱり望遠レンズ必要かねえ…)